東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに大幅反落となりました。110円安の29,663円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分後に16円安の29,758円まで持ち直しましたが、戻し切れないと大きく下げ幅を広げ前引け間際に342円安の29,431円まで下落し337円安の29,436円で前場を終えました。
一段安となった後場の日経平均は381円安の29,392円でスタートし14時10分過ぎに561円安の29,212円まで下落した後やや戻すと結局471円安の29,302円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
住友金属鉱山(5713)が一時4.4%高となりました。コバルトやリチウムで鉱石からの抽出と同等の品質とコストを実現する世界初の技術を確立したことで電気自動車用の電池に含まれるレアメタル(希少金属)の再利用を始めると伝わったことが材料視されました。関西スーパーマーケット(9919)も26.6%上昇しストップ高となりました。神戸地裁がエイチ・ツー・オー リテイリング(8242)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をしましたが、差し止めが認められた場合にはオーケーが完全子会社化を前提に2,250円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると明らかにしていたことで買いを集めました。
また、米長期金利の上昇を受けて昨日の米国市場でゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン・チェース(JPM)が買われた流れを受けて日本市場でもメガバンクが堅調で、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時3.0%高となったほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)も一時2.0%高となりました。さらに一時115円前半まで進んだ円安を受けて自動車株も堅調で、なかでも日産(7201)が4.4%高、マツダ(7261)も2.8%高となっています。
マザーズ市場では創薬ベンチャーのそーせい(4565)が23.2%上昇しストップ高となりました。米バイオ医薬のニューロクライン・バイオサイエンシズ(NBIX)と統合失調症などの精神神経疾患の治療薬開発でライセンス契約を結び、契約の一時金として1億ドルを受領する見込みと発表したことが好感されました。
一方で米長期金利の上昇を受けて昨日の米国市場でハイテク株が売られた流れを受けてアドバンテスト(6857)やレーザーテック(6920)、ソフトバンクグループ(9984)などなどが安く、アドバンテストが4.1%安、レーザーテックが3.3%安、ソフトバンクグループが3.3%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は471円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が再任される見通しとなり米長期金利が上昇したことでハイテク株に売りが出て米国市場でナスダック総合株価指数が続落となった流れを引き継ぎ大幅安となりました。一時は16円安まで持ち直しながら戻し切れないと大きく下げ幅を広げました。
30,000円の大台を前に足踏みが続くなか大幅安となり節目の29,500円だけでなく、25日移動平均線(29,342円)も割り込んだことから下値への警戒感が意識されそうですが、想定を超える大きな下げとなっただけに明日以降の自律反発に期待したいところです。
なお、日本時間の22時30分には7-9月期の米GDP改定値や米新規失業保険申請件数、10月の米耐久財受注額などが発表されるほか、25日午前零時には11月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値や10月の米新築住宅販売件数、10月の米個人所得と個人消費支出(PCE)などが発表される予定です。また、25日の午前4時には11月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)