米国株は絶好調だ。FRBがテーパリングを決めても株価は高値を更新し続ける。ダウ平均は反発して再び最高値を更新、S&P500は7日続伸、ナスダック総合は10日続伸だ。
先週末発表された雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比53万1000人増と45万人増を見込んだ市場予想を上回り、失業率も9月の4.8%から4.6%に低下した。それでも長期金利は一時、1.43%と前日の1.52%から大幅に低下した。強い経済指標が出ても金利は低下する。これで株高にならないわけがない。
一方、日本株は良好な外部環境やそれを反映した米国株高にまったくついていけない。日曜日の日経新聞が報じたように日本企業の業績は一段と上振れしている。日経が5日までに決算と今期予想を発表した企業784社を集計したところ、22年3月期の増益率予想は45%と8年ぶりの高い伸び率となるという。
実際に日経平均の予想EPSも徐々に切れ上がってきていたが、先週末には急上昇して約2,150円に達している。これをベースに測れば仮に3万2000円になったとしてもPERは14.9倍だ。そのくらいの水準になっていて然るべきだが、そうなっていない現状は大きくディスカウントされている、すなわちリスクプレミアムが乗っているということであり、端的に言って買い場である。
8日にソフトバンクG(9984)が4~9月期決算を発表する。足元の米株高などで先行きを強気に見ることもできる一方、中国株下落の影響も気になるところだ。日経平均への寄与度が高い銘柄だけに決算発表をきっかけにした株価の波乱には注意したい。
そのほか週末には東京エレクトロン(8035)の決算発表も控えるが、今週は新興市場でも注目企業の決算発表が目白押し。8日にワークマン(7564)、10日にJTOWER(4485)、11日に日本マクドナルドHD(2702)、GMOフィナンシャルゲート(4051)、そーせいグループ(4565)、12日にフリー(4478)、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)、フェローテックHD(6890)、ウェルスナビ(7342)。
岸田首相は今月中旬に経済対策をまとめるとしている。骨子はすでに発表されているが、より具体的な内容や規模がそろそろ明らかになるころだ。市場が好感するようなメニューは多くないが、安全安心な形に見直した「Go Toトラベル」事業再開やデジタル田園都市国家構想を具体化する交付金などの成長投資案件はポジティブ材料になるだろう。
米国株が今週も一段高となれば ‐ そうなる可能性が高いと見るが ‐ 日本株も出遅れ修正の動きとなって日経平均3万円回復もあり得るだろう。