金利と株の組み合わせと為替の関係
ここに来て、金利、為替、そして株と、金融市場が全体的に大きく動き出した。それにしても、金利と株の組み合わせ次第で、為替相場の方向性にも違いが出てきそうなので、それについて今回は確認してみたい。
まず米金融緩和政策の転換を主な動機として、米金利が上昇する場合。これは基本的にはどの通貨に対しても等しく米ドル高要因だ。ただそんな米金利上昇に対しては、株価がどう反応するかによって、為替相場の動きも異なる可能性がある。
基本的に、米国株安が拡大する局面、つまりリスクオフとされる中では米ドル安・円高となりやすい。ただ、円以外の通貨に対しては、「有事の米ドル買い」のメカニズムが機能することから、株安、リスクオフでは米ドル高となることも少なくない。
以上を参考にまとめたのが、図表になる。つまり、米金利上昇+米国株高の組み合わせでは米ドル/円が上がりやすい一方で、ユーロ/米ドルなどは、米ドル高要因と米ドル安要因の綱引きで方向感が出にくくなる可能性がある。
実例が9月FOMC(米連邦公開市場委員会)後の展開だ。米金利の急上昇と米国株の急反発が並行した中で、米ドル/円は一段高に向かったのに対し、ユーロ/米ドルは下げ渋り、つまりユーロ安・米ドル高が足踏みするところとなった。なぜ、こんなふうに米金利が急上昇する中で、対円と対ユーロで米ドル高の動きに差が出たかは、株価との関係で考えることにより辻褄が合うだろう。
一方で、米金利上昇局面でも米国株安となった場合は、米ドル/円よりユーロ/米ドルなどの方向感が出やすくなる。これは、上述のように米国株安、リスクオフは円買い、米ドル買いをもたらしやすいことから、米ドル/円は米ドル安・円高、ユーロ/米ドルはユーロ安・米ドル高となる確率が高く、米金利上昇の米ドル高とは米ドル/円より、ユーロ/米ドルの方向性が一致する確率が高まるためだ。
米金融緩和の政策転換の可能性が高まる中で、基本的には米金利は上昇傾向に向かう可能性が高いだろう。これ自体はすでに見てきたように基本は米ドル買い要因。ただし、そんな米金利上昇に、株価がどう反応するかによって、通貨別に米ドル高の進行には違いが出てくる可能性がありそうだ。