まずは金利差との関係を確認する
豪ドル/米ドルは年初来の安値を更新し、先週は一時0.75米ドルを大きく割り込む場面もあった。ところでこの動きは、年明け以降の豪ドル/米ドルの動きをうまく説明してきた豪米10年債利回り差からのかい離が目立つ(図表1参照)。ではこれは、豪ドルの「下がり過ぎ」の可能性を示しているのだろうか。
そうではなくて、むしろ豪ドル/米ドルに影響する金利差が「変わった」ということではないか。これは、米ドル/円やユーロ/米ドルなどでも基本的に同じだが、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、豪ドル安・米ドル高が広がった動きをうまく説明できたのは豪米の2年債利回り差だった(図表2参照)。
以上のように見ると、最近にかけて年初来の豪ドル安値(米ドル高値)を更新してきた動きは、6月FOMC以降、急浮上した米金融緩和見直し思惑を受けた米2年債利回り急騰に伴う米ドル高の影響と考えるのが基本だろう。
ところで、そういった中で、豪ドル/米ドルは足元で0.747米ドル程度の52週MA(移動平均線)まで下落してきた(図表3参照)。経験的には、豪ドル高トレンドが展開する中でのあくまで一時的な豪ドル安なら、この52週MA前後までがせいぜいだろう。ただ、52週MAを大きく、長く下回るようなら、それはすでに豪ドル高から豪ドル安へトレンドが展開している可能性が高くなる。
要するに、最近にかけての豪ドル下落は、すでに豪ドル高が2021年2月の0.8米ドルで終わり、新たな豪ドル安トレンドが始まっている可能性を試す動きと言えそうだ。
ちなみに、豪ドル安トレンドが展開しているなら、経験的には52週MAを1割以上下回るまで豪ドルは下落する可能性が高そうだ(図表4参照)。足元の豪ドル/米ドルの52週MAは0.747米ドル程度なので、それを1割下回る0.67米ドル以下の水準を目指す豪ドル安に向かうか、そんな分岐点を迎えている可能性がありそうだ。