東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて3日続伸となりました。19円高の29,376円で寄り付いた日経平均は直後に11円安の29,346円とマイナスに転じた後切り返すと上げ幅を広げ10時20分過ぎに327円高の29,685円まで上昇しましたが、その後伸び悩むと245円高の29,603円で前場を終えました。220円高でスタートした後場の日経平均は14時10分過ぎに132円高の29,489円まで上げ幅を縮めた後やや戻すと結局160円高の29,518円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

JFEホールディングス(5411)が7.2%高となり先週末に続いて年初来高値を更新しました。自動車向けなど鋼材需要が持ち直すことから2022年3月期の最終損益が1300億円の黒字に転換する見通しを発表し、市場予想も上回ったことで買いを集めました。また、新型コロナウイルス禍で売り上げが落ち込んでいた事務機の回復を見込み2022年3月期の営業損益が500億円の黒字に転換する見通しを発表したリコー(7752)も5.8%高となり年初来高値を更新したほか、ミネベアミツミ(6479)も主力のベアリングやモーター、アナログ半導体に加え、スマホ用部品などが収益を引き上げることで2022年3月期の営業利益が前期比で5割を超す増益となる見通しを発表したことで3.5%高となりました。さらにセイコーホールディングス(8050)も6.4%高となり年初来高値を更新しました。高付加価値の腕時計の販売が好調だったことなどで2021年3月期の利益見通しを上方修正したことが好感されました。

一方でディー・エヌ・エー(2432)が急落し10.1%安となりました。通期の営業損益は225億円近い黒字を確保したものの、第4四半期の営業損益が4四半期ぶりに赤字に転落したことが嫌気されました。大幸薬品(4574)も第1四半期の営業損益が赤字となったことで急落し12.5%安となり年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は160円高となりました。米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回ったことで金融緩和の長期化観測が強まり先週末の米国市場でダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。10時20分過ぎに高値を付けた後伸び悩み上げ幅を縮めましたが、先週の木曜日と金曜日に抜けきれなかった一目均衡表の雲の上限(29,414円)を本日は上回ってきました。したがって30,000円の大台回復への期待も再び出てきそうですが、週末に向けて決算発表が佳境を迎えるなかでどこまで戻りを試せるかがポイントとなりそうです。なお、本日も引け後には住友金属鉱山(5713)やパナソニック(6752)などが決算発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)