感染予防を意識しながら、ようやく外出できるようになったと思ったのもつかの間。新型コロナウイルスの感染が再拡大し、緊急事態宣言等が発出された地域もあり、ゴールデンウィーク中も家で過ごす時間が増えそうです。家で過ごす時間は読書やゲーム、映画鑑賞、趣味など様々なことに取り組めると思いますが、この機会に、お子さんとお金の話をしてみてはいかがでしょうか。

子どもとお金の話をする理由

皆さんは、お子さんとお金の話をしたことがありますか。ニュースに出てくるようなことを題材にお金の話をしたことがあるというご家庭は多いでしょうが、「家計」について話をしているご家庭はあまり多くはないでしょう。ですが、自分たちの暮らしにまつわるお金から色々なことを考えるのは、お子さんにとって非常に良い金銭教育となります。

子どもは、生活にいくらかかっているのか、自分の学校にいくら支払っているのか、塾や習い事にいくらかかっているのかなど、ほとんどわかっていません。お金は「必要だ」と言えば、親からもらえるのが当たり前と思っている子どももいます。ですが、それではいつまでたっても「お金の価値」は理解できないでしょう。

自分の身の回りのものに、どのくらいのお金がかかっているのかを「知る」ことは、学校や塾などへの向き合い方、文具や玩具などの使い方などを考えるきっかけとなります。何か欲しいものがあっても、「買ってほしい」と言える状況ではないと判断したら、自分で小遣いを貯めて買おうとするような変化がみられるかもしれません。

子どもとお金の話をするということは、こういった子どもの変化も期待できるのです。

横山流「家族マネー会議」とは?

横山家での「家族マネー会議」の様子

子どもとお金の話をするといっても、何をどう話してよいのかわかりません」と言われることがよくあります。あまり難しく考える必要はありません。できればおしゃべりの延長くらいな感じで話せるといいですね。くれぐれも、緊張して深刻な面持ちで「家族でお金の話をしましょう」などと切り出してはいけません。楽しく、明るく話していきましょう。

我が家では毎月1度、家族が全員そろって「家族マネー会議」を開催しています。私には子どもが6人いるのですが、独立した一番上の子を除き、2番目の23歳社会人から大学生、高校生、中学生、小学4年生の5人の子と、私たち夫婦の7人で集まってお金の話をしています。

家族でお金の話をするようになったきっかけは、長女が小学3年生の頃、夫婦で家計の話をしていたら「保険って何?なんでたくさんお金を払っているの?」と話に入ってきたことです。子どもの気づきから学ぶことも多く、お金の使い方を考えさせられました。それ以降、月に1度、家族が集まってお金の話をするようになりました。

「家族マネー会議」の内容は収入、支出、貯金額を家族で共有し、ムダ使いはなかっただろうか、ほしいものを買う余裕はあるだろうか、家族の将来に向けて必要な資金形成ができているだろうか、ということです。具体的には、

(1)今月の収入(夫婦それぞれ)の発表
(2)今月の支出の発表
(支出を消費・浪費・投資に分けているので、その判断が間違っていないかを確認し合う)
(3)貯蓄額、投資したお金の推移の確認
(4)買いたいもの、今月臨時で買うべきものを各自でプレゼンする
(全員がOKを出さなければ、その内容は却下されます)

このような感じです。特に最後のほうでは子どもの関心のあること、最近の様子や好きなアイドルの話などおしゃべりもかなり多く、子どもの様子が分かる親子のコミュニケーションの場ともなっています。

「家族マネー会議」を試した家庭、どんな変化があったか

以前からこの「家族マネー会議」を、家計全体の改善のために、またはお子さんの金銭教育の一環のために勧めてきました。様々なご家庭で実践していただきましたが、皆さん、様々な変化を感じているようです。例えば、以下のような感想が聞かれました。

・収入が下がった場合に、社会人の子どもがこれまで以上に家計をサポートしてくれるようになった
・子どもが大学進学の際、「老後資金がなくなると困るよ」と言って自分のアルバイトの収入から授業料の半分弱を払うよう頑張ってくれた
・親にねだるのではなく、自分のお小遣いを貯めてゲームソフトを買った
・住宅購入の頭金を貯めていることを知った子どもがとても楽しみに思ったようで、おやつは最小限にし、電気や水道の使い方にも注意を払うようになり助かった

このような子どもにまつわる話のほか、
・家族が家計簿の内容を気にしてくれるようになった
・家族の会話が増えた(コミュニケーションがとれる)
といったように、家族全体で変化した話も聞いています。

家族の価値観が共有でき、お金と向き合う姿勢がそろうことで、様々なメリットがあります。まずはお子さんの金銭教育を目的に、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。今までとは違う「何か」に気づけるかもしれません。