2月15日に、2020年10〜12月期のGDP(国内総生産)の速報値が発表されました。前期比プラス3.0%、年率換算でプラス12.7%となりました。2020年の通年では11年ぶりにマイナスになったものの、予測を上回る結果でした。そして、日経平均株価も3万円台に乗りました。足元で実感している経済とのギャップを感じつつも、今後の景気が良くなってほしいと希望を持った方もいらっしゃることでしょう。また、新型コロナワクチンの接種などによって、春や夏に向けて感染拡大の収束の兆しも見えてくるかもしれません。

このような状況をきっかけに、夫婦で将来必要な資金について話し合ってみてはいかがでしょう。何か良い手がかりが見えてくるかもしれません。具体的な必要額の出し方、貯め方などをご紹介しますので、話し合いをするヒントにしていただければと思います。

教育費を準備するポイント

子どもを持つ夫婦の方々は、まず教育費について考えましょう。子ども1人あたりにかかる教育費は1000万円、1200万円とも言われています。はじめからその金額を貯めるのは大変でしょう。しかし、一度に支払う金額はその中の一部です。大部分は毎月など一定期間ごとに支払えます。

一度に支払う金額についても、いつ頃に入学金を支払うのか、卒業式など学校イベントの費用はいつ頃かかるのかなど、おおよそのスケジュールを確認することも可能でしょう。それを目標に準備していくとよいのです。ただ、その貯め方について「貯金がよいのか」、「投資で運用してもよいのか」、「学資保険に加入するのがよいのか」など、迷われる方も多くいらっしゃいます。教育費を貯める方法がたくさんあるからです。

もし、お子さんが3年、5年後など近い将来に大学に進学する、または小・中・高校の入学金や入学準備品にお金がかかるのであれば、現金で貯めた方がよいでしょう。

お子さんが生まれたばかりで、15年、18年後に教育費が必要となるのであれば、投資を活用するのもよいでしょう。その場合は、長期、分散、積立の投資です。

学資保険については、昔はメリットの多いものでしたが、今ではあまり効率がよくない貯め方だと私は思います。「貯める仕組み」として利用するのは良いのかもしれませんが、「貯める」ことを目的にするのであれば、今から始めることはあまりお勧めしません。

老後資金を準備するポイント

2019年に話題になった「老後資金2000万円問題」をきっかけに、「老後資金は2000万円貯めなくてはいけない」と思われる方も多くなりました。ですが、実際に必要な老後資金は個人によって異なります。生活の仕方や習慣などは、それぞれ皆異なるからです。

老後資金の目標額に影響するのは主に、

・老後にどのくらいの生活費がかかる見込みか
・年金はいくら受給できる見込みか
・退職金はいくら出るのか

以上の3つです。これらを確認し、自分に必要な老後資金額を計算してみましょう。

(1ヶ月の生活費-年金受給月額)×12ヶ月×準備したい期間=不足する老後の生活費

以上で生活費として不足するおよその額を出すことができます。

1つの例で計算してみましょう。老後の生活費が1ヶ月あたり30万円かかり、年金受給額が専業主婦だった妻と合わせて月に22万円ほどで、老後資金として30年分準備したいとしましょう。

その場合、

(30万円-22万円)×12ヶ月×30年=2880万円

老後に不足する生活費は2880万円です。この金額から、退職金を老後資金に含められるのであれば、退職金の金額を引きます。

老後に不足する生活費-退職金額=必要な老後の生活資金

以上のように、具体的に老後の生活に必要な金額が計算できます。上記のケースで1500万円の退職金が出る見込みであるとすると、

2880万円-1500万円=1380万円

1380万円が不足すると想定されます。

老後資金の計算には「予備費」も忘れずに

このほか、介護・医療費、住宅のリフォーム代としてかかるお金や、その他娯楽などにかけたいお金があると思います。これらは生活費とは別で、実際どの程度必要かご夫婦で話し合っていただきたいところですが、1000万円ほどを目安にするのが妥当でしょう。これを先ほどの生活費に合わせて考えます。

必要な老後の生活資金+1000万円=準備したい老後資金
1380万円+1000万円=2380万円

上記のケースでは将来、予備費も合わせた資金合計2380万円を目標に貯めていけばよいという試算になります。老後資金としての貯金が既に500万円あるということならば、差し引き1880万円を今後用意していくことになります。

現在のご年齢が40歳の方であれば65歳を目標達成時点に定め、25年間で形成させていくプランを立てます。運用ではなく貯金だけで1880万円を貯めていくとしたら、毎月約6.2万円を貯金しなくてはいけません。投資信託の積立で運用していく場合、仮におよそ3%の運用益を見込めるとして手計算すると、毎月約4.5万円積み立てれば1910万円ほどが形成されることになります。他にも貯金と投資を組み合わせ、自分たちに適した割合にするなど、様々な方法が考えられるのではないでしょうか。

このように、お金が必要になる時期、その準備の仕方などを夫婦で話し合っておくと、スムーズに取り組めるのではないかと思います。

計算に使ったのは例えにすぎませんので、是非ご自身の場合に置き換えて考えてみてください。