2年2ヶ月ぶりの水準まで上昇した豪ドル/円

クロス円が全般的に上昇傾向を続ける中で、豪ドル/円も80円の大台を大きく上回り、2018年12月以来の2年2ヶ月ぶりの水準まで上昇してきた(図表1参照)。では、豪ドル高・円安はどこまで続くかについて、今回は考えてみたい。

【図表1】豪ドル/円と52週MA(2008年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

豪ドル/円と52週MA(移動平均線)との関係を見ると、豪ドル高・円安は、基本的に52週MAを1~2割上回ったところでピークアウトしてきた(図表2参照)。足元の52週MAは74円だから、それを1~2割上回るということは82~90円程度といった計算になる。経験則を参考にすると、それが豪ドル高・円安の「目標」になるだろう。

【図表2】豪ドル/円の52週MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

82円ならもう目の前であるのに対し、90円ならまだまだ先。では、豪ドル高・円安は90円にどれだけ近付けるのか。その鍵を握っているのは、米国を中心とした世界的な株高の行方だろう。

2020年3月の世界的な株大暴落、「コロナ・ショック」一段落後から続いてきた対米ドルでの豪ドル高を非常にうまく説明できるのはNYダウなどの株高だった(図表3参照)。これを見ると、豪ドル高をもたらしている主因は株高だ。

【図表3】豪ドル/米ドルとNYダウ(2020年1月~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

それに加えて、1月後半から米ドル/円も米ドル高・円安傾向となったことで、対米ドル以上に対円での豪ドル高、つまり豪ドル/円の上昇が勢いづくところとなったわけだ。以上のように見ると、豪ドル高・円安の行方を考える上で、まず鍵になるのは株高・豪ドル高が続くかということになるだろう。

株高が続くなら、豪ドル高も続き、米ドル/円次第ではあるが、豪ドル/円も90円に近付く可能性があるだろう。ただ株安に転換するなら、これまでの関係からすると豪ドル安に転換することで、米ドル/円の影響は加味しつつも、豪ドル高・円安も終わる可能性があるだろう。

豪ドル/円と豪日金利差の関係を見ると、足元の80円を大きく上回る豪ドル高・円安を説明するのは困難だ(図表4参照)。これまで見てきたことからすると、そんな金利差からかい離した豪ドル高・円安をもたらした主因は株高だろう。

【図表4】豪ドル/円と豪日金利差(2019年1月~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見ると、株価の行方が、豪ドル/円が90円にどれだけ迫れるか、逆に「高転び」するリスクが出てくるかを決める、最大の鍵を握っている可能性があるのではないか。