そろそろ確定申告の季節となりました。今回は税制改正に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う給付金も数多くあり、どの給付金が課税され、どの給付金が非課税扱いなのか判断が難しいところです。

今回はフリーランスや個人事業主など、ご自身で確定申告をされる方々の参考になればと思い、「給付金等の課税・非課税や2020年分の確定申告で損をしないために知っておきたいこと」についてお伝えします。

経営にまつわる給付金は課税対象

2020年は新型コロナウイルス感染拡大に伴う休業要請や生活者への外出自粛要請などで、企業、自営業者などの多くはビジネス規模に関わらず、経営にマイナスの影響を受けました。

その救済を目的として設けられた「持続化給付金」は、売上が前年同月比で50%以上減少した企業(資本金10億円以上の企業を除く)または個人事業主が受けられるもので、利用した方も多かったのではないかと思います。

給付額は最大で、中小企業などの法人は200万円、個人事業主は100万円です。使途の制限がないため、特にフリーランスなど個人で仕事をされている方にとっては、助かる収入となったのではないでしょうか。

この持続化給付金のように、事業の運営に関連して給付される給付金は「事業所得」の扱いとなり、課税対象になります。他にも家賃支援給付金、休業要請協力金も同様です。従業員がいる場合、休業させた時の給料負担分として受け取った雇用調整助成金、小学校休業等対応助成(支援)金も事業所得、すなわち収入としてみなされ、課税対象になります。

つまり、確定申告で「事業収入」、または「雑収入」など収入の1つとして申告しなければならないのです。

家庭で受けた給付金はどうなるのか

では、生活者に対する給付金はどうなるのでしょうか。2020年には特別定額給付金の10万円が、国民全員に給付されました。これは家計への支援を目的として支給されたものですので、所得とみなされず、課税対象になりません。

他にも状況によっては、子育て世帯・ひとり親世帯への臨時特別給付金、雇用保険の基本手当、傷病手当金、災害による災害忌慰金、生活再建支援金を受けている方もいらっしゃるでしょう。これらも所得とみなされず、課税対象になりません。

緊急小口資金の特例貸付や総合支援資金の特例貸付のような貸付については、のちに返済するものですから課税対象になりません。

知っておきたい2つのポイント

給付金の課税・非課税のほか、今回の確定申告について知っておきたいことが2つあります。

1つ目は、青色申告の場合、申告の方法などにより青色申告特別控除の上限額が変わることに注意してください。

e-Taxを使って申告する場合は、これまでと同様に65万円の控除が受けられますが、郵送や窓口で申告する場合は今回からその上限額が55万円に減ってしまいます。但し、その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていれば、従来通り青色申告特別控除の上限額は65万円となります。

2つ目は自営業などに関わらず、サラリーマン世帯にも該当するもので、払い戻しを受けなかったイベントなどのチケット代の扱いです。

文化庁、スポーツ庁が対象と定めたイベントであれば、チケット代を寄付控除として扱うことができます。返金を求めない証明書などが必要になりますので、詳細は文化庁やスポーツ庁のホームページでご確認ください。

2020年分の確定申告では、取扱いのわからない収入、支出も多いかと思います。最近はインターネット上でわかりやすく解説されている情報も多くなりましたが、調べてもわからない場合は、必ず税務署などに確認するようにしてください。