東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅続落となりました。日経平均は123円高の28,320円でスタートすると寄り付きを高値に上げ幅を縮め取引開始から30分弱でマイナスに転じましたが、下げ渋ると持ち直し再びプラスとなりました。しかし、寄り付きの高値を超えることができず伸び悩むと下落に転じ51円安の28,145円で前場を終えました。下げ幅を三桁に広げ144円安の28,053円でスタートした後場の日経平均は一段安になると節目の28,000円を割り込み13時20分前に537円安の27,660円まで下落した後一旦390円安まで持ち直しましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げると引け間際に567円安の27,629円まで下落し結局534円安の27,663円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

大日本住友製薬(4506)が7.9%高となりました。第3四半期9カ月間累計の営業利益が前年同期比7.5%増の875億円となり通期計画の580億円を大きく上回ったことで上方修正期待が高まりました。野村不動産ホールディングス(3231)も6.7%高となりました。第3四半期9カ月間累計の営業利益が前年同期比68.6%増と大幅な増益となり通期の営業利益の見通しを上方修正したことが好感されました。富士電機(6504)も一時9.3%高となりました。第3四半期9カ月間累計の営業利益は前年同期比16.4%減となりましたが、第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比53.5%増と増益に転じたことが評価されました。また、ファンケル(4921)も第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比で増益に転じたことで一時4.3%高となっています。

一方でキヤノン(7751)が7.3%安となりました。2021年12月期に営業利益が前期比43.4%増となるとの見通しを発表しましたが、14日に2020年12月期の業績予想を上方修正したことをきっかけに株価が水準を切り上げていたこともあって材料出尽くしとなり売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は534円安となりました。米ネット証券が前日の急落の要因となった個人の投機的な取引を制限したことによる安心感から昨日の米国市場が反発したことで上昇して始まりましたが、一部の米ネット証券が取引制限を緩和すると発表したことで米国市場が再び混乱するのではないかという警戒感から上値が伸び悩むと売りが優勢となりました。時間外取引で米株価指数先物が下げ幅を広げたことで後場に一段安となり節目の28,000円を割り込むと、25日移動平均線(27,892円)も下回ってしまいました。そのため下値不安が意識されそうですが、こうしたなかで今晩の米国市場の反応が注目されます。

なお、決算発表が本格化していますが本日は決算発表の集中日で引け後にコマツ(6301)やTDK(6762)、村田製作所(6981)、JR東日本(9020)、KDDI(9433)など多くの企業が決算を発表する予定です。また、29日の米国でもキャタピラー(CAT)やハネウェル・インターナショナル(HON)、シェブロン(CVX)などが決算発表を予定しています。さらに日本時間の22時30分には2020年12月の米個人所得・個人消費支出が、そして23時45分には1月の米シカゴ購買部協会景気指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)