すでに対米ドルで34%も上昇した豪ドル

豪ドル高が止まらない。対米ドルでは一時0.74米ドル、対円でも一時78円まで上昇した。これにより、今年の安値からの最大上昇率は、対米ドルで34%、対円でも30%に達した。では豪ドル高はこの先どこまで進み、その中で「死角」はないかについて考えてみた。

豪ドル/米ドルの52週MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、2000年以降で同かい離率が10%以上に拡大したのはおもに4回あったが、さらに20%以上に拡大したのは1回しかなかった(図表1参照)。

【図表1】豪ドル/米ドルの52週MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

足元の52週MAは0.675米ドル。従って、それを10%上回る水準は0.74米ドル、20%上回る水準は0.81米ドルといった計算になる。上述の経験を参考にすると、豪ドルがこの先0.75米ドルを超えていく可能性は高そうだが、さらに0.8米ドルを超えられるかとなると、それは簡単ではなさそうだ。

ところで、ここまでの豪ドル/米ドルの上昇は、さすがに代表的な資源国通貨だけに、国際商品市況の総合指数であるCRB指数との連動性が強かった。とくに原油相場が歴史的な底打ちとなった4月末以降、両者は高い相関関係が続いてきた(図表2参照)。

【図表2】豪ドル/米ドルとCRB指数(2020年5月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

このように豪ドル/米ドルと高い相関関係が続いてきたCRB指数は、90日MAからのかい離率で見るとかなり短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている(図表3参照)。以上からすると、CRB指数の短期的な「上がり過ぎ」の反動が入る場合、それは豪ドル/米ドルの反落リスクをもたらす可能性はあるかもしれない。

【図表3】CRB指数の90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成