先週の上海総合指数は3週ぶりに反発

先週7月27日(月)以降の中国株ですが、上海総合指数は週間で3.5%高と、3週ぶりに反発となりました。先々週までは米国がヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を決めたことに対する報復措置として、成都にある米総領事館の閉鎖を命じたことなど、米中対立が不安材料となっていましたが、先週は悪材料が出ない中で反発となりました。

株価は50日移動平均線よりもかなり上の位置にあり、上昇トレンドが続いています。もっとも、米中対立懸念以外にも中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大するなどの不透明要因も残るところで、これが株価の上値を抑えています。

先週は特に7月29日(水)に大きく上昇しています。この日は米国株安や中国での新型コロナウイルス感染拡大の影響からマイナス圏からのスタートだったのですが、すぐにプラス圏に転じ、その後は終盤に向けて上げ幅を広げました。中信証券と中信建投証券の合併観測から再編期待で証券株が大きく買われました。

先週はこのような材料株が相場を牽引したような印象です。7月27日(月)には金価格の上昇を受けて紫金鉱業集団や山東黄金鉱業などの金鉱株が買われました。また、7月28日(火)には中国政府が内需拡大に力を入れるとの思惑から、乳業や食肉生産会社などの内需関連が上昇。7月31日(金)には米国のアップルの決算が好調だったことから、電子部品株が買われた他、新型コロナウイルスのワクチン承認への期待から、ワクチンメーカーが上昇しています。

中国の経済指標が良好なことからも全体的に株価は年初来高値を更新していくような動きになることが期待されるところです。しかし、株価が急上昇すると中国当局からバブルを警戒した対策が打たれるため、当面は当局の顔色をうかがいながら、全面高というよりは材料株が買われていくような形で、ゆっくりと上昇していくのではないかと予想します。

経済指標も堅調な一方、香港ハンセン指数は軟調

中国の経済指標も堅調です。7月27日(月)に発表された6月の中国の工業部門企業利益は前年比11.5%増となり6月の実績である6.0%増を大きく上回りました。また、7月31日(金)に発表された7月の中国国家製造業PMIは51.1となり、市場予想の50.8や6月実績の50.9を上回りました。3月以降、5ヶ月連続で景況感の境目である50を上回っています。

また、中国国家非製造業PMIも54.2と、こちらは市場予想の54.5や6月実績の54.4を共に下回りましたが、こちらも5ヶ月連続で景況感の境目である50を上回っています。8月3日(月)にはCaixin中国製造業PMIが発表される予定ですが、こちらも市場予想は51.1となっており、景況感の境目である50を超える見通しとなっています。

一方、香港ハンセン指数は軟調で週間で0.4%安となり、3週続落となりました。香港ハンセン指数が上海総合指数よりも弱い理由の1つは、中国の「香港国家安全維持法」に対して、米国が香港の優遇措置を撤廃するとしたことによります。そのことから、ドルペッグ維持への懸念などによって香港からの資金逃避が起こっていることが挙げられます。

もう1つは、香港で新型コロナウイルスの感染者が急増しており、行動制限が再開される可能性があるとの見方によるものです。実際のところ、香港の新型コロナウイルスの感染者数は連日100人を超えており、香港政府は、公の場での集まりを制限するほか、飲食店での食事も禁止すると発表しています。

次の注目ポイントは8月12日~8月14日の中国IT大手企業の決算発表

これらによって香港ハンセン指数は50日移動平均線を少し割り込む位置まで下げています。しかし、テンセント(00700)やアリババ(09988)、ネットイース(09999)、美団点評(03690)、小米(01810)といった大手ネット関連銘柄の株価は、先週は小幅に調整した銘柄もあったものの、上昇トレンドを保っています。

これは米国や日本でもそうですが、やはりコロナ禍でも業績が好調な銘柄には資金が集まるということでしょう。今後の注目はこれらの企業の決算発表です。

テンセント(00700)は8月12日に、ネットイース(09999)は8月13日に、美団点評(03690)と小米(01810)は8月14日に、第2四半期の決算発表を、またアリババ(09988)は8月14日に第1四半期の決算発表を予定しています。

米国ではIT大手企業の業績が堅調で、決算発表後に株価が大きく上昇した銘柄が多かったわけですが、中国でも同じような状況となるかに注目です。