豪ドルと中国株、CRB指数の関係

先週にかけて急騰した中国の株価、上海総合指数が、今週は急反落となっている。では、これは貿易関係の強い豪ドルに悪影響なのか。結論的に言うと、影響はあまりないのではないか。

図表1のように、豪ドル/米ドルと上海総合指数を重ねてみると、そもそも最近にかけて上海総合指数の急騰に対し、豪ドル/米ドルも急騰となったわけではなかった豪ドル/米ドルは3月末から急反騰となったが、少しタイムラグはあったものの、それをおおむね正当化したのはむしろコモディティの総合指数であるCRB指数だろう(図表2参照)。

【図表1】豪ドル/米ドルと上海総合指数(2019年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

【図表2】豪ドル/米ドルとCRB指数(2019年7月~)

出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

さすがに、代表的な資源国通貨とされる豪ドルだけに、その変動をより継続的に説明できるのは資源価格などの総合的な指標であるCRB指数だ。もっともそのCRB指数も、90日MA(移動平均線)からのかい離率などを見ると、足元は「上がり過ぎ」懸念が強くなっている(図表3参照)。

【図表3】CRB指数の90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ただ、CRB指数が最近のように「上がり過ぎ」懸念が強くなった局面は、下落トレンドへの転換ではなく、むしろ上昇トレンドの途中で起こることが多かった(図表4参照)。上昇相場が「勢い余って」行き過ぎたケースが基本だったようだ。

【図表4】CRB指数と90日MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

上をまとめると、豪ドルは中国株よりCRB指数の影響が大きく、そのCRB指数も短期的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっていることから、豪ドルも上げ渋りとなっているものの、CRB指数の「上がり過ぎ」は上昇トレンドで起こることが基本だったので、その影響を受けるなら豪ドルも上昇トレンドが続く可能性が高いのではないか。