株大暴落と米景気予想にかい離
注目された3月6日発表の米2月雇用統計で、NFP(非農業部門雇用者数)は27万人と、事前予想を大きく上回る増加となった。こういったことを受けて、定評のあるGDP予測モデルであるアトランタ連銀のGDPナウは、今年の米第1四半期GDP成長率予想を、それまでの2.7%から3.1%に大きく上方修正した。
新型肺炎の影響で、経済活動を自粛する動きが急拡大する中で、世界経済の急激な悪化への懸念が最近にかけて急浮上しているが、その中で「世界一の経済大国」、米国の第1四半期の成長率は、昨年第4四半期の2.1%からむしろ急加速し、「3%成長」の予想すら出ていることは注目される。
ちなみに、別のGDP予測モデルであるNY連銀のGDPナウキャストは、第1四半期GDP成長率予想について6日、2.1%から1.7%に下方修正した。このGDP予測モデルは、これまでの実績を見ると低めの予想数値が出やすかった。
ただそんなGDPナウキャストは、同じ6日に、今年第2四半期の成長率予想を1.3%と発表した。まさに、新型肺炎に伴う経済活動自粛の影響がストレートに警戒される4月以降の米景気について、そもそも成長率予想数値が低く出がちなことも考慮すると、決して極端に米景気が悪化するといった見方とは言えないのではないか。
米国株、NYダウも短期間に2万9000ドルから2万5000ドルまで暴落したが、これはまさに先行き景気の劇的な悪化を織り込もうとする結果だっただろう。ただ、GDP予測モデルの予想とは、かい離があるといえるのではないか。