金利差からかい離したユーロ安が続く理由

ユーロ/米ドルが昨年来の安値を更新してきた。ただこのようなユーロ/米ドルの下落は、米独金利差から、むしろ大きくかい離した動きだ(図表1参照)。金利差との関係からすると、ユーロ/米ドルは、下落が始まった2018年2月の1.25ドルまで戻ってもおかしくない。

【図表1】ユーロ/米ドルと米独金利差(2017年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

このように、金利差ユーロ不利縮小が続くことを尻目にユーロ/米ドルが続落することを説明できそうなのは投機筋などのユーロ売りの動きだ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、ヘッジファンドなど投機筋のユーロ・ポジションは、2018年4月頃から買い越し縮小が本格化、そしてさらに売り越しに転換し最近に至っている(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション (2017年1月~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

要するに、投機筋は2018年4月からユーロ売りが続いてきた。投機筋のユーロ売りが2年近く続いたことから、ユーロ/米ドルが続落したということだろう。ただし、問題はなぜ金利差ユーロ不利が縮小する中でも、投機筋はユーロ売りが続いたのかということだろう。

2018年4月から投機筋のユーロ売りが続いたことと、基本的に一致したのはユーロ/米ドルと120日MA(移動平均線)との関係だ。ユーロ/米ドルは、2018年4月から120日MAを割り込み、以来、基本的に120日MAを下回る水準での推移となってきた(図表3参照)。

120日MAは、投機筋の売買転換点とおおむね一致する。簡単な言い方をすると、120日MAを上回ると買い、下回ると売り。その意味では、2018年4月から、ユーロ/米ドルが120日MAを割れると投機筋がユーロ売りを本格化させ、以来基本的に120日MAをユーロ/米ドルが下回って推移する中で、金利差ユーロ不利縮小にもかかわらず投機筋はユーロ売りを続け、そしてユーロ/米ドルは続落したと考えると辻褄は合いそうだ。

さて、そんなユーロ/米ドルの120日MAは、足元で1.105ドル程度。この120日MAを下回ってユーロ/米ドルが推移する中では、投機筋のユーロ売りは続き、ユーロ/米ドルの下落傾向は続く可能性がある。ただ、120日MAを上回るようなら、投機筋がユーロ買いに転換し、ユーロ/米ドルも反発に転換する可能性はあるだろう。

【図表3】ユーロ/米ドルと120日MA(2017年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成