「大暴落」後の特徴

新型肺炎への懸念からリスクを回避するリスクオフの動きが続いているが、ではリスク資産の1つと位置付けられる代表的な高金利通貨、トルコリラの下落リスクについてはどのように考えたら良いか。

トルコリラ/円の大きな特徴の一つは、2018年に90日MA(移動平均線)を3割以上も下回る大暴落があったということ。ところで、このような「90日MAを3割以上も下回る大暴落」は、2000年以降では2018年を除くと2008年と2001年の2回しかなかった(図表参照)。

【図表】トルコリラ/円の90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

この2回の「大暴落」の後は、トルコリラ/円の短期的な下がり過ぎも限定的な状況がしばらく続いた。とくに2008年の「大暴落」の後は、10年後の2018年に「大暴落」が起こるまで、90日MAからのマイナスかい離率は15%以上に拡大することはなかった。

これを参考にすると、2018年8月の「大暴落」からまだ約1年半しか過ぎていない足元では、トルコリラ/円がリスクオフで下落する動きも限定的にとどまる可能性が高いのではないか。足元の90日MAが18.7円程度なので、それを10%下回ると16.8円、15%下回ると15.8円という計算になる。

以上をまとめると、当面トルコリラ/円は16円を割れる可能性も低く、年内としても15円を割れる可能性は低いのではないか。