米ドル/円上昇メドの考え方
米ドル/円は14日、110円を上回った。では、どこまで上昇するだろうか。1つの考え方としては、112.4円程度が大きな分岐点なのではないか。
米ドル/円は2015年から値動きの収縮が続いてきた。上値が切り下がる一方で、下値が切り上がるといった具合で、チャート的には大きな三角保合いを形成したようになっていた(図表参照)。その中で、「上がっても前回高値を超えられず、下がっても前回安値を割れず」といったパターンが展開してきたわけだ。
現在は、昨年8月104円からの米ドル/円上昇局面と位置付けられる。これまでのパターンが変わらないなら、米ドル/円は昨年4月に記録した112.4円程度を超えられず反落に転じることになる。逆に、112.4円程度を大きく上回ってくるようなら、「上がっても前回高値を超えられず」といったパターンがついに崩れた可能性が強まる。
チャート的には、それは三角保合いを「上放れ」した可能性ということになる。その場合、教科書的には保合いのスタート地点まで戻る動きが始まっている可能性が出てくる。今回の三角保合いのスタート地点は、2015年6月125円。要するに、112.4円を大きく上回るようなら、米ドル/円の上値余地は125円まで大幅に拡大する可能性があるわけだ。
以上を整理すると、こんな考え方になるだろう。数年続いてきた値動きの収縮がまだ変わらないなら、米ドル/円は112.4円を超えられない可能性が高い。しかし、112.4円を大きく上回るようなら、それは値動き収縮の終わりの可能性を示すものだ。
米ドル/円は2016年には22円の値幅となったが、2017年から3年連続で10円程度の小幅のレンジとなった。これにより、米ドル/円のボラティリティー(変動率)低下は構造要因によるものといった声も出てきた。
ただ構造変化とは、基本的には10~20年といった長い時間をかけて起こるもの。ほんの4年前に年間20円以上の値幅となった米ドル/円が、急に年間10円しか変動しないというようになるだろうか。
ここ数年続いた米ドル/円のボラティリティー低下は、循環的な値動き収縮の影響が大きいものだとしたら、「上がっても前回高値を超えられず」といったパターンのブレークは、米ドル/円のボラティリティー急回復をもたらす可能性も注目されるのではないか。それがまずは米ドル高・円安方向で試される局面を迎えているということだろう。