私は、FRB(米連邦準備制度理事会)の「保険的利下げ」が成功したことなどにより、現在はリスクオン局面にあると思っています。ところで、リスク資産が選好される局面は、基本的に為替相場でリスク資産に位置付けられる高金利通貨も買える可能性があるといえるでしょう。
そしてもう1つ、高金利通貨を買うに当たって注意する必要があるのは「割高」ではないかといった点です。高金利通貨投資の最大の魅力はもちろん金利差ですが、注意しなければならないのは、せっかくの金利差が吹き飛びかねないほど大幅に下落すること。割高な水準にある場合、大幅に下落するポテンシャルがあるため、せっかくの金利差が台無しになりかねないわけです。
では最近はどうか。たとえば、メキシコペソ/円について5年MA(移動平均線)からのかい離率をみると、基本的にマイナス20%から0%の範囲中心に推移してきました(図表1参照)。その意味では、5年MAを上回ると「割高」、かい離率がマイナス20%以上に拡大すると「割安」といえそうです。
足元のメキシコペソ/円の5年MAからのかい離率はマイナス10%程度。その意味ではほぼ中立な水準にあるといえそうです。リスクオン局面にあり、しかもとくに「割高」ではなさそうということでは、代表的な高金利通貨のメキシコペソ/円は買える可能性がありそうです。
それにしても、相場は一時的に下がる可能性はあるもの。メキシコペソ/円は上昇トレンドで展開したとしても、一時的にいくらまで下がるリスクを想定する必要があるのか。経験的には、一時的な下落は5年MAを、5%以上といった具合に大きく下回らない程度にとどまる可能性が高い。足元の5年MAは5.65円なので、それを5%以上も下回らないなら、5.4円を割れない可能性が高いといった計算になります。
一方で、上昇トレンドが展開するなら、メキシコペソ/円はどこまで上がるのか。上述のように、メキシコペソ/円の場合、5年MAを上回ると「割高」懸念が強まります。足元の5年MAは6.2円程度なので、6円を超えるようなら、「割高」を警戒する必要が出てくるのではないでしょうか。
以上をまとめると、株高、リスクオン局面が続く中では、高金利通貨の1つ、メキシコペソ/円なら5.4~5.9円のレンジを想定し買うといった投資戦略が基本になるのではないでしょうか。