カナダのGDPは世界第10位(2017年)。先進国首脳会議G7のメンバーでもあります。カナダは伝統的に隣国である米国を最も緊密な同盟国と位置付けており、対米関係を最重要視しています。カナダの政策金利は2019年8月時点で年1.75%。G7主要国では米国に次いで高金利通貨となっていますが、カナダドルの特徴とは?
カナダ経済に影響が大きい米国経済、原油価格、金価格
カナダの2017年の主要輸出先国トップは米国(75.1%)で全体の輸出の3/4を占めています。2位の中国への輸出は4.5%程度です。
2017年の輸入国トップも米国で51.3%と半分が米国からの輸入です。2位の中国が12.6%で中国も年々カナダへの輸出を増やしていますが、カナダと米国の貿易量は群を抜いています。
米国経済が好調であればカナダとの輸出入が盛んになりますから、米国経済がカナダに及ぼす影響は甚大です。
カナダの主要産業は金融業や製造業。主な輸出品目は、自動車及び同部品,食品・衣類等の消費財、金属及び非金属鉱物、木材などですが、最も輸出額が大きいのはエネルギー原油や天然ガスなどのエネルギー燃料です。
2018年のカナダの石油生産量は世界第4位と石油の輸出国でもあります。また、カナダは世界有数の石油埋蔵量を誇る資源国ですが、まだ開発されていないシェール層開発への期待もあります。このように原油価格のカナダ経済に及ぼす影響が大きいため、カナダドルは原油価格との相関性も高いという特徴があります。
また、カナダは金の生産でも2018年ですと世界第5位の地位にあり、金価格動向もカナダドルにとっては重要なことから、カナダドルは「資源国通貨」と呼ばれています。
政策金利は年1.75%で据え置き
カナダの政策金利は2019年8月時点で年1.75%の水準にあり、1%にまで政策金利が引き下げられたオーストラリアやニュージーランドよりも高金利です。
カナダの金融政策は2018年10月に0.25%の利上げが実施されたのを最後に、金利が据え置かれています。声明文には今後の利上げに関する記述が残されていましたが、2019年4月の会合で声明文から利上げバイアスが完全に消えています。
そんな中、2019年8月14日、カナダの10年債と2年債の長短金利が逆転しました(この日は米国や英国でも逆イールドが発生)。カナダが逆イールドとなるのは2007年6月以来約12年ぶりのことです。利下げの観測もありましたが、カナダ中銀は9月4日の金融政策会合で政策金利を年1.75%に据え置くと発表しました。
カナダドルは現在高金利通貨に分類されるため、カナダ中銀が利下げのサイクルに入ればカナダドルへの売り圧力が強まるリスクが高まりますので、金融政策の転換には注意が必要です。