今週の相場動向
相場回顧 BTC:急落急騰で不安定な動き、週足では約3%の下落
BTCは、5/17に突発な調整売りにより一時BTC=72万円まで急落するも、その後すぐに買戻しが入りBTC=80万円を回復した。
5/19には逆に急騰しNHKのビットコイン価格暴騰に関する報道もあってか価格を伸ばすも、BTC=90万円を前に上値が重くなり、Van Eckの仮想通貨ETF審査の延期もあってBTC=84万円まで下落した。NYSE Arcaの新たな仮想通貨ETF申請や仮想通貨関連法案の衆議院可決、Bitcoin SV(BSV)の急騰等により再び上昇するも上値は重く、週末にかけては軟調な推移となった。週足では約3%の下落。
Bitcoin SV(BSV)は5/21に一時前日比100%を超える急騰を見せた。コミュニティの中心人物であるCraig Wright氏が米国でBTCのホワイトペーパーおよびコードの著作権登録を申請したことが好感されたとの見方が強い。
今週のトピックス
- Bitfinexが資金調達を完了し取引所トークン「LEO」の上場を正式発表、20日取引開始。(5/17)
- CircleがステーブルコインUSDCの監査結果を公開。(5/17)
- Kakao傘下のGround Xが独自ブロックチェーンKlaytnを6月ローンチ予定と発表。(5/18)
- Facebookがスイスにブロックチェーン関連会社を設立。(5/18)
- 金融庁、G20を前に資金洗浄対策で仮想通貨業者に照準。(5/18)
- Enjin Coinがブロックチェーンを導入したMinecraftサーバーβテストを開始。(5/18)
- Bitcoinの価格再び変動大きく一時1.5倍に急上昇、NHK報じる。(5/19)
- 米SECがVanEckらの申請した仮想通貨ETFに関する審査期限を再び延期。(5/20)
- ホンダとGMがブロックチェーンを活用したEV次世代送電網を共同研究。(5/20)
- Zulu RepublicがWhatsAppで利用できる仮想通貨送金プラットフォーム「Lite.Im」を発表。(5/20)
- NYSE Arcaが米SECに対し新しい仮想通貨ETF上場に向けた規則変更を申請。(5/20)
- Coinbaseが決済サービスCoinbase CommerceでUSDCをサポート。(5/20)
- Ripple社がインドとサウジアラビア間におけるXRPを活用した国際送金経路の運用状況を報告。(5/20)
- 金融商品取引法と資金決済法の改正案が衆議院本会議で可決。(5/21)
- NEM JAPANがNEM財団の新体制移行に合わせて事業返却。(5/21)
- BitfinexとTether、両社の弁護士がNY司法長官に対し訴訟棄却を請求。(5/21)
- BitfinexとEthfinexがIEOプラットフォームTokinexを立ち上げ。(5/21)
- 米SECがダイヤモンドに裏付けされた仮想通貨投資詐欺に停止命令。(5/21)
- オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が仮想通貨詐欺の疑いがある企業に関して警告。(5/21)
- 仮想通貨の預金口座サービスを手掛けるBlockFiの顧客預かり資産が1億ドルを突破。(5/21)
- Craig Wright氏がBitcoinのホワイトペーパーおよびコードの著作権登録を米国に申請。(5/21)
- 「ビットコインピザの日」9周年。(5/22)
- startbahnがSBIから追加の資金調達を実施、金額は非公開。(5/23)
- 財務省が広報誌「暗号資産(仮想通貨)研究への誘い―先物、不正・規制、ICOを中心に」を発表。(5/23)
- 米国大手通信AT&Tが仮想通貨での請求書支払いを受け入れ。(5/23)
来週の相場予想
BTCは短期的な調整売りにより軟調な推移となるか
最近の価格上昇を受けて、日本では国内交換業者における新規口座開設者数の急増や大手メディアによるビットコイン報道が見られ、米国でも今週は仮想通貨ETF関連報道があり、仮想通貨市場は世間的な注目を集めている。
このような中、TetherとBitfinexの動向が今ある懸念材料の一つに挙げられるが、大きく価格を崩すことはないだろう。しかし、これまでの価格上昇が急すぎることから短期的な調整は必然であり、積み上がったロングの解消が進めばBTC=80万円を割り込むことも考えられる。
直近上値としてBTC=88万円(8,000ドル)、下値としてBTC=80万円(7,200ドル)を意識。
来週のトピックス
- JBCN Confがバルセロナで開催。(5/27-29)
- Ark(ARK)がARK Deployerをリリース予定。(5/28)
- Aeternity(AE)がハードフォーク実装予定。(5/28)
- Enjin Coin(ENJ)がMeet-upをシンガポールで開催。(5/28)
- International Blockchain Summit 2019がドバイで開催。(5/29)
- TRON(TRX)がSun Networkのテストネットをローンチ予定。(5/30)
- Chainlink(LINK)がメインネットをローンチ予定。(5/31)
- Aion(AION)がAVMメインネットをローンチ予定。(5/31)
- ICON (ICX)がICON DPASSをリリース予定。(5/31)
- EOS(EOS)、Block.oneイベントのアナウンス(6/1)
業界関連動向
規制動向 仮想通貨関連法案が衆議院を通過
5/21、仮想通貨交換業者に対する規制強化などを盛り込んだ金融商品取引法と資金決済法の改正案が衆議院本会議で可決し参議院に送付された、と日経新聞が報じた。
この改正案は3/15に閣議決定されており、今国会中に成立する見込みだ。仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に変え、少ない元手で多額を売買できる証拠金取引の規制対象に加える。
この議案は「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」というタイトルで衆議院に提出された。これが通過すると、仮想通貨の証拠金取引をFXと同じように金融商品取引法上の規制対象とすることになる。これにより取引所はホットウォレットで保管する仮想通貨に関して、「見合いの弁済原資(同種・同量の暗号資産)」を保持することを義務付けられる。
見合いの弁済原資を持つことは、2018年に2回の巨額仮想通貨流出事件が発生したことを踏まえている。最近でも海外ではクリプトピアやバイナンスでの流出があり、国が流出対応を法的に明示することは市場健全化への一歩と見られる。
一方、相場の上昇に伴い、「令和組」と呼ばれる新規参入者が増えており、5月の国内交換業者の新規口座開設者数が急増している。今回の法案可決によりこうした新規参入者も安心して投資できる環境が整うことが期待される。
技術動向 Enjin Coinがブロックチェーンを導入したマイクラサーバーβテストを開始
5/18、Enjin Coin(ENJ)がJava用のブロックチェーンソフトウェア開発キット(SDK)のテスト版を発表した。
この基盤技術を活用することで、Javaを活用したブロックチェーンゲームの開発が容易になる。同時に、マイクロソフトの提供するゲームMinecraft(マインクラフト)にて、ブロックチェーン技術を導入した独自サーバー「EnjinCraft」を公開し、クローズドβテストを開始した。
ENJはETHをベースにブロックチェーンを活用したオンラインゲームのエコシステム構築を目指すシンガポール発のプロジェクトだ。あるゲームで手にしたアイテムを、ブロックチェーンを介して別のゲームに持ち出すというMultiverseの概念を実現しようとしている。今回公開したEnjinCraftでは、ゲーム内からETHのウォレットアドレスと連携し、アドレスが保有する暗号アイテムを他のユーザーとトレードすることが可能だ。トレードの媒介にはENJを用いる。
ENJは3月、1ヶ月の間に価格が700%上昇したとして韓国を中心に注目されていた。CoinMarketCapによると、現在も韓国取引所のBithumbとUpbitのウォン建取引高がバイナンスのBTC建に次いで多い。今回の発表も含めて、ENJを採用したゲーム開発は着々と進められており、将来性あるゲーム関連プロジェクトの一つと言えるだろう。
個別企業動向 テザー(USDT)の一部がビットコインに裏付けられていたことが判明
5/21、ステーブルコインのテザー(USDT)が準備金の一部をBTCに投資していたことを裁判所で認めた、とThe Blockが報じた。
Bitfinexの弁護士であるDavid Miller氏が、「テザーは現金や現金相当物以外にも実際は投資しており、その中にはビットコインも含まれる」と述べている。
この件について、ニューヨーク州の最高裁判所Joel M. Cohen氏は、「テザーは価格変動の激しい仮想通貨の中で、安定しているものと認識していた。それがビットコインに裏付けられていたということは、そのような前提が崩れるものになるのではないか。」と疑念を露わにしている。
テザー社は先月30日に通貨テザー(USDT)発行総量の4分の3しか米ドルで裏付けられていないことを認めた。USDTは数ある仮想通貨の中で米ドルと1:1で連動したステーブルコインとして価値を認められた通貨であるため、実際は米ドルだけでなく他の仮想通貨とも連動しているとなれば、市場で大きく信用を失うことになる。
市場は、テザー 社が資産の一部にビットコインを当てた背景に関心を寄せており、同社と、共同経営者Bitfinexとの関係を巡る議論にも注目が集まる。
コラム 「わたし、“定時”で帰りません。」
TBSテレビの毎週火曜22時ドラマ「わたし、定時で帰ります。」が昨今のサラリーマン生活を見事に捉えていて面白い。WEB製作会社で残業ゼロ生活を貫く主人公に影響され、次第に周りの同僚たちも働き方を見直していくという物語なのだが、仕事命のワーカホリック人間、辞めたがりの新人、産休上がりで張り切るママさんワーカー、だらだら働いて残業する非効率人間、そして上司やクライアントによるパワハラ、セクハラ等々、日本でサラリーマン生活を送ったことがある人であれば共感するエピソードばかりなのだ。
ドラマを見ていてつい私の銀行員時代を思い出してしまった。「新人は早く帰れ」と言われながらもどこか定時で帰りづらい雰囲気があり、「自分たちが新人の頃は」と昔話で圧をかけてくる先輩や仕事は終わっているのにだらだら残ってやたら飲みに行きたがる先輩、ゴミ箱のゴミを毎回なぜか私に捨てさせる上司もいた。「昔に比べれば若手に対する先輩や上司の対応は甘い」などといった時代的差異は正直どうでもよく、当時何より印象的だったのは職場のほとんどの人が楽しそうに働いていないことだった。私もその例外ではなく「定時で帰りたい。」と常々思っていた。
これと同時に、今の私は「定時で帰りたい。」と全く思わないことに気づいた。それは仕事に対して面白み・やりがいを感じているからだ。おそらく仕事が山積みになってもストレスに押し潰されることはないだろう。このように言うと私がワーカホリック人間だと勘違いする人がいるが、決してそうではない。私は仕事から早く帰って良いなら帰るし、仕事を休んでいいなら休む。単に、今の仕事量あたりのストレス負荷が銀行員時代に比べて圧倒的に小さく、仕事が苦にならないだけだ。それゆえ、定時を強く意識することはない。
「わたし、定時で帰りたい。」は、仕事のストレスに苦しむ最悪な働き方だ。次に、「わたし、定時で帰ります。」は仕事のストレスを抱えながらもプライベートを楽しむ働き方だ。そして「わたし、“定時”で帰りません。」は仕事もプライベートも大差なく楽しむ働き方だ。本来目指すべき働き方がどれであるかは明白だろう。その点、暗号資産・ブロックチェーン業界で働く多くの人は企業の大きさに関わらず“定時”で帰らない働き方をしている印象を受ける。それは業界が未成熟でそれを面白いと思う人しかプレイヤーとして参入していないというのはあるが、そのことを無視しても「わたし、定時で帰ります。」にとどまらず「わたし、“定時”で帰りません。」と言えるマインドを持って働くべきである。
編集校正:マネックス仮想通貨研究所