今週の相場動向
相場回顧 BTC:BCH主導でBTC=44万円台まで上昇
BTCは週初にBCHの急騰に連れ高しBTC=44万円台まで上昇すると、その後は短期筋による利益確定売りで価格を下げる場面はありながらも安定した推移となった。
先週末にCBOEがビットコイン先物取引の提供を一時取りやめるとの発表もあったが、取引高がCMEに比べてそこまで大きくないこともあり相場への影響は限定的となった。その他、第3弾となるBinanceのトークンセールが行われたがBNBは大幅上昇とはならず、相場全体への影響は出ていない。
BCHの急騰要因は定かではないが、思惑的な仕掛け売買によるものと思われる。今週にCoincheckが昨年11月のBCHハードフォークで誕生したBitcoinSV(BSV)の日本円での付与を発表したが、BSVはBCHとは別通貨であることに注意が必要だ。
今週のトピックス
- Cboeがビットコイン先物XBT取引の提供を一時取りやめ。(3/15)
- Bittrexが予定されていた初のIEOを直前に中止。(3/15)
- Mt.Gox元社長に執行猶予付き有罪判決。(3/15)
- CoincheckがBitcoinSVを日本円で交付すると発表。(3/18)
- IBMが6銀行とステーブルコイン発行、国際送金市場へ本格参入。(3/18)
- Coinbaseが一般投資家向け取引所Coinbase.comでもStellar(XLM)を上場。(3/18)
- ハッキング被害に遭った仮想通貨取引所Cryptopiaがサービスを再開。(3/18)
- Bithumbが大規模なリストラを計画か。(3/18)
- CoinMarketCapが仮想通貨格付情報Fundamental Crypto Asset Scoreの提供を開始。(3/18)
- 中国深センの地下鉄でブロックチェーンを用いた電子請求書を発行。(3/18)
- GMOコインが仮想通貨ユーザー約1万名を対象に実施したアンケート結果を発表。(3/19)
- startbahnが第三者割当増資により3.1億円を資金調達。(3/19)
- Binanceが新聞販売店でのBTC購入を可能にするBinance Lite Australiaを発表。(3/19)
- Binanceが第三弾トークンセールとなるCELRの販売を実施。(3/19)
- スイスの通販大手Digitec GalaxusがBTC決済受入開始。(3/19)
- 米国技術企業AvnetがBitpayと連携し仮想通貨決済受入へ。(3/19)
- BitmainがZcash用の新たなマイニング機器を発表。(3/19)
- SBIがキャッシュレス推進に向け新会社マネータップ株式会社を設立。(3/20)
- 麻生財務相「仮想通貨関連の改正案を閣議決定するも税制に変更はない」との見方。(3/20)
- CoinMarketCap提供の仮想通貨指数をNASDAQ,Bloomberg,Reutersへ提供。(3/20)
- Huobi GlobalがトークンセールのプラットフォームHuobi Primeを発表。(3/20)
- ブロックチェーンスマホ開発を手掛けるSirin LabsがMyEtherWalletと提携。(3/21)
- Alibabaがソフトウェア開発Aerospace Informationとブロックチェーンサービス開発で提携。(3/21)
- AI活用のヘッジファンドNumeraiがICOで1,100万ドル調達。(3/21)
- Cardanoの1.5メインネットがリリースを成功。(3/21)
来週の相場予想
来週の相場予想
買い優勢となりBTC=44万円台を上抜けられるか。
BTCは緩やかではあるが2月以降アルトコイン主導で価格を伸ばし続けている。来週はBinanceに続いてHuobiが第1弾となるトークンセールを行う予定となっており、今週の発表以降大きく上昇しているHuobi Token(HT)がどのような値動きをするかに注目が集まる。それ次第ではBTCが連れ高し上昇する可能性もあるだろう。また、CME先物最終取引日前後の値動きにも注目である。現在CMEではショートが優勢となっており、解消により買い圧力が強まることも考えられる。
BTC=44万円台を上抜けることができれば、次はBTC=46万円付近が上値として意識される。
来週のトピックス
- OKEX C2C Networkローンチイベントがイスタンブールで開催。(3/26)
- Huobi PrimeにてTOPのトークンセール開始。(3/26)
- Crypto Conference.comがベルリンで開催。(3/27-28)
- CME先物BTCH19最終取引日。(3/29)
業界関連動向
規制動向 日本政府が仮想通貨規制に関する改正法案を閣議決定
3/15、日本政府は仮想通貨の規制強化策を盛り込んだ資金決済法と金融商品取引法(金商法)の改正案を閣議決定した、と日経新聞が報じた。
この改正案は、昨年11回に分けて金融庁で開催された「仮想通貨交換業等に関する研究会」の報告書に沿った内容となっており、顧客資産のコールドウォレット管理や証拠金取引の金商法適用、投資性の強いICOの金商法適用、「仮想通貨」から「暗号資産」へ呼称変更などが要点となった。改正案の施行予定日である2020年4月以降、交換業登録を既に受けている業者であっても証拠金取引を継続するには金商法上の登録が必要となる。また、改正案では金商法上の登録審査期限が設けられた。施行後1年半で正式に登録認可が得られない業者は強制的にサービスの提供ができなくなる。
今回の改正案を受けて、日本政府の仮想通貨規制の方針が法的に明確化された。これにより、業界各社は対応に迫られるだろうが、既存金融会社による業界参入もまた進むと思われる。登録審査期限である2021年9月にかけては業界における撤退、参入の動きが加速していきそうだ。
技術動向 Lightning Labsが「Lightning Loop」のα版をリリース
3/20、ビットコインのスケーラビリティ問題の改善が期待されるLightningNetwork(LN)の技術開発を手掛けるLightning Labsが、新たなソフトウェア「Lightning Loop」のα版をGitHub上に公開した。
現在のLNでは、チャネル開設時のデポジット額に応じて各チャネルの限界容量が定められ、その容量を超えた取引を行うには、ユーザーはチャネルを再度開設し直さなければならない。しかし、Lightning Labsが考案したLightning Loopを用いれば、この問題は解決されるという。
今回のα版ではLoop Out機能が実装され、ユーザーはチャネルを開いたままLNの資金をオフロードすることで受信容量を増やすことができる。また、次のステップとしてLightning Labsはその逆のLoop In機能の実装準備を進めており、ユーザーは同じくチャネルを開いたままLN上に資金を補充することが可能になる予定だ。
Lightning Loopの開発が進めば、ユーザーは取引容量に合わせてチャネルを開け閉めする必要がなくなり、ネットワーク効率の大きな改善が見込まれる。引いてはそれがLNの実用化につながるだろう。
個別企業動向 Huobi Globalが「Huobi Prime」を来週に正式ローンチ
3/20、中国大手仮想通貨取引所Huobi Globalが資金調達プラットフォーム「Huobi Prime」を来週3/26に正式ローンチすると発表した。
Huobi Primeは、Huobiグループ独自の評価モデルSMART-Chain 2.0に従って選ばれた有望プロジェクトへの支援を通して、業界エコシステムの発展に寄与することを目的としている。SMART-Chain2.0の詳細は明らかではないが、同グループによる何百ものプロジェクト調査の末に構築された評価アルゴリズムであるという。
今回Huobi Primeに初めて上場する通貨はTOP Networkが発行するTOPトークンである。TOP Networkは、メッセージや通話、ストリーミング、VPN、ストレージなど様々なコミュニケーションアプリの開発コスト削減および相互連携を可能とするネットワークの構築目指している。プレスによれば、トークンセールは3段階に分けて行われ、それぞれボラティリティ軽減の為に一定の価格制限が設けられている。ユーザーはHuobi Token(HT)でTOPの購入が可能だ。
最近Binanceのトークンセールが活況であるように、大手取引所主導のトークンセールは信用が担保される面が大きくユーザーも買いに動きやすい。来週に控えたHuobi Prime第1弾は果たして成功に終わるだろうか。
コラム イチローの記者会見を聞いて感じたこと
これから先これほど偉大な人が現れるのだろうか、と誰しもが思う人がまた1人第一線を退いた。私は野球への興味関心は薄いし、彼の功績を具体的に誰かに説明できるほどの知識もない。そんな私でも、2009年に開催された第2回WBCの決勝では、テレビ越しに彼のプレーに視線が釘付けになったことを今でも覚えている。この時に限らず、30年近いプロ野球人生を通して世界中に多くの感動を与えてきた彼の言葉は自然と心に響く。イチローの引退記者会見を聞いて感じたことを一部述べたい。
「現役を通して貫いたのは野球愛、引退後も別の“野球選手”になっているだろう」
大抵の人は、自分の好きなことを見つけてそれを生涯やり続けることができる人はほんの一握りで、自分はそんな人にはなれないと考える。しかし、それは好きなことに関わる術を無意識に限定しているからであって、実際は仕事でもプライベートでもその方法は数多く存在している。IT化が進んだ今日ではなおさらだ。とは言いながら、イチローの会見の言葉、表情を見ていると、自分が“好き”と認識していることは単なる思い込みで、本当は未だに自分の好きなことを見つけられていないのではとも思う。それくらいに彼の野球愛は真実だ。
「人より頑張ることはできない、あくまで秤は自分の中にある。」
会見の中でイチローが強調していたのは“自分なりに”頑張ってきたということだ。一般に他人との比較で自分を評価する人が多い中で、彼は常に自分の限界と比較することで自分を高めてきた。つまり、毎日自分を限界まで追い込んできた。私の過去を振り返っても、自分の限界に挑戦した経験は学生時代の部活動の時くらいしかない。働き始めてからは、自分の成長に繋がる限界とはほとんど無縁で、環境ストレスやアルコールの限界を極めてきただけである。おそらくそんな人が大半だろう。断続的に自分の限界に挑戦することはできても、それを継続的に行うことは極めて難しい。彼はそれを生涯やり続けてきたのだ。
「久しぶりに東京ドームに来て日本のファンの熱量を改めて感じた」
遠く離れたアメリカでは日本のファンの熱量が伝わりづらかったとイチローは口にした。仕事で日本の仮想通貨・ブロックチェーン企業の人に話を聞いて回っていると、各々が業界に対する熱い想いを持ちながら、好きで事業に励んでいることが伝わってくる。業界の先も見えない中で、彼らはきっと毎日限界に追い込まれながら事業の成功に向かって努力を続けている。しかし、これは業界に関心のない世間の人や、単にインターネットを通じて仮想通貨を売買しているだけの人には決してわからないことだ。私はこの業界の熱量をみんなに伝えなければならない。イチローのように挑戦し続ける人がこの業界にはこんなにもいるということを。
以上の他にも、イチローの引退記者会見から考えさせられることは多々あった。特に記者については何か会見が開かれる度に思うことがあるが、それは別の場で述べるとする。最後に、「イチロー、28年間の感動をありがとう」。
編集校正:マネックス仮想通貨研究所