今週の相場動向
相場回顧 BTC:BTC=43万円付近でもみ合いの展開
BTCは材料難の中BTC=43万円付近で方向感に乏しい動きとなった。
週を通して、価格の下落局面ではすぐさま反発し底値の堅さを示したが、買いが進まず上値の重い相場が続いた。北朝鮮がサイバー攻撃により大量の仮想通貨を盗んでいた疑いやインベスコ社のブロックチェーンETFの取引開始、その他大手取引所のサービス拡充など業界ニュースは引き続き多く見られたが相場への影響はほとんど見られなかった。
今週もStellar(XLM)やLISK(LSK)といった一部アルトコインで強い動きが見られたが、市場全体を押し上げるほどの動きにはなっていない。
今週のトピックス
- Vitalik氏がウォレット取引にガス代を課すことをTwitter上で提案。(3/8)
- NEM財団が組織再編に関する進捗を報告。(3/8)
- Fidelityが一部顧客に対して仮想通貨カストディサービスを提供開始。(3/8)
- Swissquote、3/21より外部ウォレットからアカウントへの送金が可能に。(3/8)
- ドイツ財務省が電子証券及び仮想通貨の規制上の取り扱いに関する報告書を公開。(3/8)
- 北朝鮮がサイバー攻撃により推計5億ドル(555億円)超の仮想通貨を盗んだ疑い。(3/8)
- BinanceのCEOがアルゼンチンでの新たな仮想通貨取引所開設をTwitter上で示唆。(3/9)
- 仮想通貨換金代行業者FORBESが所得隠しで東京国税局より指摘。(3/9)
- SamsungがGalaxyS10対応のウォレット及びDappsをストアに公開。(3/10)
- スイス証券取引所(SIX)が世界初となるXRP連動のETP取引を開始か。(3/11)
- インベスコ社がブロックチェーンETFの取引を開始。(3/11)
- 米国財務省がベネズエラ支援を理由にロシアの銀行に経済制裁を発動。(3/11)
- 韓国カカオ傘下Ground X Corp.がICOのプレセールで100億円相当を調達。(3/11)
- CoincheckがiOSアプリで通貨別チャット機能を追加。(3/11)
- リミックスポイントがBITPointを完全子会社化。(3/11)
- タイSECが国内初となるICOポータル運営を承認。(3/12)
- Binance公式ウォレットがクレジットカード支払いとXRPをサポート。(3/12)
- Coinbase.comとCoinbaseウォレットのアカウントリンクが可能に。(3/12)
- Ripple投資部門Xpringがブロックチェーンゲーム企業Forteと提携。(3/12)
- Bittrex Internationalが3/15に初のIEOを実施すると発表。(3/12)
- バーゼル銀行監督委員(BIS)が世界の銀行に対して仮想通貨リスクを警告。(3/13)
- NASDAQが米国仮想通貨スタートアップBcauseに技術提供。(3/13)
- Coinbase CustodyがCoinbase OTCデスクと統合。(3/13)
- SEC委員長が「ETHは証券でない」との見解を支持か。(3/13)
- Coinbase ProにStellar(XLM)が上場。(3/14)
- Cosmos Hubのメインネットがローンチ。(3/14)
- Payward Asia株式会社がJVCEAの第二種会員として入会。(3/14)
- 警視庁が多額のMONAを不正に引き出した疑いで少年を書類送検。(3/14)
来週の相場予想
来週の相場予想
BTCはレンジ相場継続となるか。
年始に比べ、価格に大きな差はないが、取引高が2倍近くの水準まで増大していることから、市場は今年に入って着実に活気を帯びていると言える。しかし、材料難の中では積極的な売買に動きづらく、ロングショート比率も今では均衡していることから、市場全体が様子見姿勢となっている。
このような膠着状態では、大口保有者が仕掛け売買に動くか、グローバルマーケットで何か大きな出来事が起きるかしなければ、なかなか相場に動きは見られないだろう。
変わらず直近上値としてBTC=44万円、下値としてBTC=41万円を意識。
来週のトピックス
- ARK Deployer v2がリリース予定。(3/18)
- Learn2Decentralizeがマルタで開催。(3/18-19)
- Money20/20 Asiaがシンガポールで開催。(3/19-21)
- OKEx C2Cローンチイベントがロンドンで開催。(3/21)
- OKEx Talks 2019が台湾で開催。(3/21)
- Blockchain & Bitcoin Conferenceがプラハで開催。(3/22)
- Mallorca Blockchain Daysがパルマで開催。(3/22-24)
- STEEMがメインネットローンチ予定。(3/24)
業界関連動向
規制動向 JCBAが「新たなICO規制についての提言」を発表
3/8、国内業界団体の一つである日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)が「新たなICO規制についての提言」を発表した。
具体的な内容としては、国内で取扱可能な仮想通貨の拡大に向けた課題整理、金融商品取引法と資金決済法の規制対象の明確化、セキュリティトークンとユーティリティトークンの規制方針の明確化が挙げられた。
その中でも注目を集めたのが、最近話題を集めるステーブルコインの取り扱いについてである。JCBAは提言の中でその他の仮想通貨と同等に扱うべきとの意見を述べた。
JCBAは、資金調達手段としてICOを健全に普及させていく為にも、適切な規制の基に柔軟なフレームが必要であると考えている。そのことを示すように、提言では規制の一部除外や軽減措置の必要性を訴えた。
金融庁は今後、先日公表した「仮想通貨交換業等に関する研究会報告書」の内容を踏まえて仮想通貨規制の方針を固めていくと思われる。JCBAが主張するような緩和的措置は果たして見られるだろうか。
技術動向 MoneroがCNv4ハードフォークを実装
3/9、匿名通貨Monero(XMR)がCNv4ハードフォークを実装した。
今回のアップデートではまず、PoWベースのハッシュアルゴリズムCryptonight-Rが改善されASIC耐性が強化された。これによりASICマイナーが排除され、ハードフォーク後にはハッシュレートが大幅に下がる事態が発生している。
また、ブロックチェーンのビッグバン攻撃への対策も講じられた。ビッグバン攻撃とは、大量にトランザクションを発生させることでブロックサイズ容量を増大させ、ネットワークに負荷をかける攻撃である。開発者らはブロックサイズアルゴリズムに変更を加えることによってこの問題に対処した。
さらに、ダミーのトランザクションIDをブロックに自動追加する機能を付け加えたことで、実際の取引が外部から特定しにくくなり、取引の匿名性も改善された。
その他、匿名取引RingCTにおける金額フォーマットの一部変更なども行われた。
今回のハードフォークを受けて、マイナーらはソフトウェアのアップデートを求められている。今後低下したハッシュレートがどこまで回復するかに注目だ。
個別企業動向 Ledgerによるウォレット製品の脆弱性指摘をTrezorが反論
3/11、ハードウォレット製造会社Ledgerが競合他社であるTrezor製品の脆弱性をブログ上で指摘した。
そこで指摘されたのは、製品が偽造可能である点、サイドチャネル攻撃によりPINコードの推測が可能である点、物理的にアクセス可能であればフラッシュメモリ内の全てのデータを抽出可能である点、暗号ライブラリの外部攻撃に対する対策が不十分である点である。
3/12、これを受けたTrezorがLedgerの指摘をブログ上で真っ向から反論した。
指摘された攻撃はどれも直接盗まれることなしにリモートで行われることはなく、ハードウォレットユーザーにとっては重要度が低いという。ブログ上では、昨年末にBinanceが行った仮想通貨の脅威に関する調査で、リモート攻撃を主な脅威とする回答者が66%であるのに対し、物理攻撃を主な脅威とする回答者がわずか6%であったことが示されている。
Ledgerが競合製品の脆弱性を公開した本意はわからないが、TrezorはLedgerによる脆弱性の指摘について感謝の言葉をブログ上で述べた。ハードウォレットの二大製造会社として、両者互いに協力しながらより安全でユーザーが使いやすい製品を作ってほしいものである。
コラム これから先問われるデジタルとアナログの使い分け
久しぶりに手書きで手紙を書いた。機械的に決められたフォント、文字の大きさ、濃さ、並びで書かれた字とは違って、私の字はパーツが整っていなくてあまりにブサイクである。けれど、やっぱり自分らしくて憎めない。手紙を入れる封筒には慣れないデコレーションなんかもして、手作り感満載の手紙が出来上がった。これが他愛ない日常の連絡であれば時間の無駄と言われてしまうだろうが、そうではない大事な時のメッセージであれば、受け取る側もきっとその方が喜んでくれるに違いない。“無駄な時間”が私とその人たちにとって一生の思い出になるからだ。
手紙を書き終えてから考えたのは、デジタルとアナログの使い分けについてである。デジタルは空間を超越するが、それゆえそこに存在する一つひとつの情報の価値を希薄化する。仮に私がパソコンで書いた手紙をメールで送ったら、それは情報の海に沈んでほんの数ヶ月で忘れ去られるだろう。一方、アナログは空間を制限するが、各々が物体として存在することによって私たちに様々な想像力を働かせる。きっと彼らは手紙を読んだ時に私の準備時間を想像して「似合わないことをしたな(笑)」と心の中で微笑む。そして、時が経ってもふとそれが目に入るだけで自然と当時の思い出が想起される。
ビットコインが登場したことによって、最近では世界的にデジタル通貨の可能性が見直されているが、上述したことはお金にも当てはまる。お金が完全にデジタル化してしまえば、グローバルレベルでお金の移動は楽になるが、おそらく私たちはお金の価値を見失うだろう。数値化されたお金はたとえそれが赤字残高であっても身体的に実感が湧かないのだ。逆に、アナログなお金すなわち現金が重んじられる場面は、私たちの日常を振り返っても確かに存在する。年に一度のお年玉やご祝儀、お布施等々総じて思い出に残る特別な時である。また、現金は言語に並んで国や地域の文化、歴史を表す顔としての役割も持っている。
デジタル化が進む今日、アナログの価値があらゆる場面で再評価されている。デジタルノンネイティブ世代はデジタルを好み、デジタルネイティブ世代はアナログを好み、両者が交わることによって今後デジタルとアナログそれぞれの使い分けがより明確化されていくだろう。個人、企業を問わず、どちらか一方を盲信してはならない。これらはあくまで手段にすぎず、自身の目的を果たす上でどちらが最適かを考えることが極めて重要と言える。今回手書きの手紙を選んだのは、思い出として相手の心に深くそして長く刻みたいと思ったからだ。まだ手紙を渡せていないが、私の日頃の感謝がストレートに伝わることを願っている。
編集校正:マネックス仮想通貨研究所