今週の相場動向

相場回顧 BTC:仕掛け売買により乱高下もXRP上昇に支えられ週足ではやや下落

BTCは、前週の流れを引き継ぎ緩やかな上昇基調となる中、2/24にBTC=46万円付近まで急騰すると、その夜には一転してBTC=41万円付近まで急落した。その後はXRPの上昇にも支えられてBTC=42万円台まで回復し、週足ではやや下落となった。

今回の急騰・急落に関しては、海外では米CMEのBTC先物の取引高急増が影響したとの声もあるが、大口保有者が価格上昇の流れを受けて仕掛け売買に動いたものと思われる。上昇幅に対して下げ幅が大きくなった要因としては、大口売りによりロスカット連鎖が生じた為だろう。bitFlyerではこの急落によりサーキットブレイカーが発動している。

XRPは、2/26にCoinbaseがトレーダー向けプラットフォームCoinbase ProにXRPを上場すると発表したことを受けて急騰した。その後は、市場の先行き不透明感から売り圧力が働いたが、今回の急騰もあって週足では他通貨がBTC建てで価格を下げる中XRPは横ばいとなった。

ETHは、EOSアカウントのハッキング被害発覚により資金が集まり強い動きを見せる場面は見られるも、Constantinopleハードフォーク前の様子見姿勢が優勢となり、軟調な動きが続いた。ハードフォークについては、その前後に瞬間的な価格の上下はあったものの相場に大きな影響はなく、無事実装を完了した。

 

今週のトピックス

  • 韓国仮想通貨取引所Coinbinが破産申請していたことが明らかに。(2/22)
  • タイ国民議会がセキュリティトークン発行を認める証券取引法の改正案を承認。(2/22)
  • 通信業コンソーシアムCBSGがブロックチェーン活用のモバイル決済の試験を完了。(2/22)
  • OKEXがC2CプラットフォームにXRP, BCHを上場し、QTUM, NEO, XUCは廃止。(2/22)
  • EOSアカウントがハッキング被害に遭い約209万EOSが流出したことが発覚。(2/23)
  • Huobiが運営体制見直しの一環でオーストラリア現法を吸収。(2/24)
  • コード監査を手掛けるQuantstampが日本法人Quantstamp Japanを設立。(2/25)
  • 英電子決済企業Electroneumがマイニング対応スマホM1をリリース。(2/25)
  • BinanceがFetch.AI(FAT)のトークンセールを実施し即時に完売。(2/25)
  • BitfactoryがDapps検索サイトFinDAppsのβ版をリリース。(2/25)
  • Mercedes-Benzがブロックチェーン基盤のサプライチェーン管理プラットフォームを開発。(2/25)
  • マイニングツールCoinhiveが3月にサービス提供を一時停止。(2/26)
  • ソフトバンクが米TBCASoftとブロックチェーンを活用した個人情報管理を検討。(2/26)
  • スイス大手銀Julius Baerが国内仮想通貨銀SEBAと提携。(2/26)
  • Coinbaseがトレーダー向けプラットフォームCoinbase ProでXRP上場を発表。(2/26)
  • INDETAILとTISがブロックチェーンを活用した交通インフラの実証実験開始。(2/26)
  • CoincheckがETCの入出金を再開。(2/26)
  • Sonyと富士通がブロックチェーンを活用した留学生の成績証明の実証実験開始。(2/27)
  • スイス投資会社Pangea Blockchain FundがBitcoin.comなどから2,200米ドル資金調達。(2/27)
  • GeminiがBT Radianzクラウドコミュニティに参加。(2/27)
  • ロシア大統領が2019年7月までに仮想通貨規制を整備するよう指示。(2/27)
  • 第20回日本国際金融システムフォーラム2019が開催。(2/28)
  • Kraken、カナダ仮想通貨取引所Quadriga CXのコイン発見者に賞金を提示。(2/28)
  • Facebookが独自通貨上場に向けて仮想通貨取引所と交渉中。(2/28)
  • OKWaveがみなし業者LastRootsの株式を一部取得し持分法適用会社に。(2/28)
  • ラオックスが定款に仮想通貨関連事項を追加。(2/28)
  • ETH、Constantinopleハードフォークを無事実装。(3/1)
  • CoinbaseがXRP取引を一般投資家向けにも提供。(3/1)

来週の相場予想

来週の相場予想

BTCは緩やかな上昇基調となるか。

今週は、韓国仮想通貨取引所の破産申請やEOSアカウントのハッキング被害など悪いニュースも一部見られたが、仕掛け売買を除けば相場に特段大きな動きはなく、相場の底堅さが示された。懸念されたETHのConstantinopleハードフォークも難なく通過し、現在の市場では目立った不安材料は無いと言える。

しかし、同様に実需ある買い材料もなく、期待先行で相場が動いている為、今週のような乱高下が今後も起きる可能性が高いだろう。急騰したからといって買いに急がない、冷静な判断が求められる。

直近上値としてBTC=44万円、下値としてBTC=41万円を意識。

来週のトピックス

  • Ethereum Community Conferenceがパリで開催。(3/5-7)
  • AeternityがMinervaメインネットリリース予定。(3/6)
  • Moneroがプロトコルアップデート予定。(3/9)
  • IOST上でDappsが稼働開始。(3/10)

業界関連動向

規制動向① バーレーン中央銀行が仮想通貨規制を正式発表

2/25、バーレーン中央銀行(CBB)が仮想通貨規制を制定したとホームページ上で発表した。昨年12月に発表した規制案が正式に形となった。

今回の規制では、国内仮想通貨交換業者に対してライセンス制度が導入された他、AML / CFT、最低資本金、ガバナンス、リスク管理、サイバーセキュリティなどの社内管理態勢を重視する規則が適用された。また、交換業者として市場操作や利益相反を防止する為の規則も中に含まれている。

CBBの銀行監督統括責任者のKhalid Hamad氏は今回の規制に関して「MENA地域における私たちの金融ハブとしての立場を示すことにつながる」と述べた。また、世界の主要な金融センターに歩幅を合わせるべく今後も規制の枠組みを強化していくという。

バーレーンは規制サンドボックスを設けて仮想通貨・ブロックチェーンを推進しており、2/26にはその中から仮想通貨交換業者Rainが通常営業を認められた。UAEを筆頭に中東での業界優位を巡る競争は日々激化しているが、その行方はいかに。

規制動向② インド最高裁が中央政府に対し仮想通貨に対する姿勢の明確化を要請

2/26、インド最高裁が中央政府に対し今後1ヵ月の間で仮想通貨に対する姿勢を明確化するよう求めたと地元メディアが報じた。

報道によれば、最高裁は同国で長期保留となっている仮想通貨に関わる訴訟問題の審理を拒否し、その際に中央に対し上述の内容を求めたという。その時の裁判官は、もし規制当局が対応しなかった場合、最高裁の判断で訴訟の判決を下すだろうと述べた。

このような報道は昨年10月にも見られた。中央銀行が国内銀行に対し仮想通貨関連の取引を禁止したことで、最高裁には国内業者からの多くの反対書が寄せられる状況となっていた。その中、合法か違法かもわからない仮想通貨案件への対応に困った最高裁が、今回と同様政府に対し方針の提示を求めた形である。

一見報道のタイトルだけを見ると大きいニュースに思えるが、これはあくまで最高裁が今抱えている問題に限った話であって、最高裁は国全体に関わる仮想通貨規制の制定を求めているわけではない。依然インドでは仮想通貨規制の不明瞭な状況が続いているが、規制報道に一喜一憂することのないよう気をつけるべきである。

個別企業動向 bitFlyerが証拠金取引のサービス内容を一部変更

2/27、bitFlyerが仮想通貨の現物・FX・先物取引を提供するbitFlyer Lightningにおける証拠金取引のサービス内容一部変更を発表した。

具体的には、証拠金取引の最大レバレッジ倍率はこれまでの15倍から4倍へと引き下げられ、追証発生基準となる証拠金維持率は80%から100%へ、追証発生時の預入猶予日数は3銀行営業日から2銀行営業日へと変更される。今年4月22日の段階でこれらの変更が実施され、6月下旬までには現在保有されているレバレッジ4倍以上のポジションも全て解消する予定だという。

今回の変更はbitFlyerが加盟する一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が制定したガイドラインに従ったものである。いずれの変更も投資家リスクを抑える為のものであり、金融庁や自主規制団体の意向が反映されていることが伺える。

同日、マルタを拠点とする仮想通貨取引所OKEXもまた証拠金取引のレバレッジ倍率を5倍から3倍に引き下げると発表した。レバレッジ倍率制限の動きは投資家保護の観点から今後世界的に広がっていくかもしれない。

コラム 何気ない人の集まりには必ず集まる理由、一体感の生まれる理由が存在する

仮想通貨・ブロックチェーンの業界に関わっていると、コミュニティの在り方やその中のコンセンサスの取り方についてあれこれと考えさせられることがある。今回は私が先週末に感じた他愛のない考えごとを披露したい。

ライブはグループの映像とともにどこか聞き覚えのある声で始まった。情熱大陸のナレーター窪田等さんの声である。あの聞き心地の良い声と乃木坂46の映像とがマッチし、前に広がる大きなスクリーンを見入っていると、次第に特定のメンバーがフィーチャーされ始めた。「…生田絵梨花。この日はどんな予想外の輝きを見せてくれるだろう。」窪田さんの最後の一言を合図に曲が流れだし、生ちゃんの歌い出しで本編がスタートした。前回のコラムを読んでくれた人であれば、その後私が全力でライブを楽しんだことがわかるかと思う。

本題に入ろう。やはり音楽に限らずライブは素晴らしい。会場内全員が、お互いを知らないにも関わらず、コンサートをみんなで良くしようというコンセンサスのもと、一心にステージに集中する。ステージ側から見る景色、感じるパワーは私たちの想像を遥かに超えるものだろう。このような会場全体の在り方を見た時に、それを細分化したグループ推し、メンバー推しというのは何なのか?そもそもアイドルとアーティストのライブでは何が違うのか?といったことを考え始めた。

私が思うに、アイドルの場合、多くの人が作られたアイドル像を追い求めてライブに足を運ぶ。つまり、会場内の私たちは音楽を媒介してアイドルという虚像を信仰している。みんなで聖歌を歌って祈る宗教のように、会場内全員でサイリウムを持って合いの手をすれば、その一体感は信者であれば誰であっても気持ちが良いのだ。一方で、アーティストの場合は、多くの人がアーティストの作った音楽を求めてライブに訪れる。つまり、会場内の彼らは音楽の主体的な消費者である。音楽を味わうことを目的にその場にいる為、ライブに過度な動作は必要ない。ただ身体を揺らして音楽を聞き浸っているのだ。

時代流行的には、音楽に限らず、どれだけアイドル的コミュニティを作れるかが重要なのかもしれないが、決してどちらの在り方が良い悪いという話ではない。両方の性質を備えたコミュニティすなわち演者を信仰しながらサービスを全力で消費するコミュニティも当然世の中には数多く存在するだろう。乃木坂46のライブの後にはナイトクラブで非日常的一体感を体感し、その翌日にはJリーグの開幕戦で会場そしてクラブサポーターの在り方を考えたがこれまた面白い。このように、何気ない人の集まりには、何か集まる理由、一体感の生まれる理由が必ず存在している。職業病かもしれないが、そんなことを考えた先週末が最高に楽しかった。何よりライブで見る生ちゃんは写真集以上に可愛かった。

 

編集校正:マネックス仮想通貨研究所