通貨の強弱は当事国の国力=強さによる
為替の変動要因は多岐にわたりますが、通貨の強弱は当事国の国力=強さが影響します。投資を考えるなら景気後退の懸念がある国より、これから経済成長が見込める国を選択するのが基本です。
各国の経済の強さを確認することがとても重要となりますが、これをファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と呼びます。各国のファンダメンタルズを確認するために、投資家らは経済指標をチェックします。これは株式投資家が企業の業績や決算を確認するのと同じです。
各国の中央銀行は雇用やインフレの安定などを使命に金融政策を実施します。この中央銀行の政策が為替市場では大きなトレンド相場をとらえるために最も重要な指標です。例えば、日本銀行(以下日銀)の異次元緩和はデフレ脱却を目標としていますが、市場に資金がたくさん回るようにと、現在はマイナス金利を導入しています。そのため、日本の金融機関は、金利の低い日本国債の運用では収益を上げることができません。
一方、米国の中央銀行であるFRBは、好調な景気がバブル化しないように段階的に政策金利を引き上げ、景気を引き締めてきました。日本の機関投資家は日本国債での運用から、米国の政策金利に連動し上昇してきた金利の高い米国債への投資を活発化せざるを得ない状況となっています。これは日本円から米ドルへの投資行動ですので、為替市場では円安ドル高につながると考えることができます。
このように、各国の中央銀行の金融政策は機関投資家などの投資行動に大きな影響を及ぼすため、為替市場にとって各国の金融政策の修正、転換は非常に重要な指標です。そして、世界の中央銀行は金融政策を決定する際、様々な経済指標を見て政策判断しています。
投資家らは、経済指標の結果をみて各国の金融政策の先行きを予想して動くため、経済指標が発表された瞬間、為替市場では値動きが大きくなることがあり、注意が必要となります。
重要な経済指標の種類
各国の公的機関が公表する経済指標には様々ありますが、特に米ドル/円の相場を動かす重要指標と直近に発表される日時(すべて日本時間)を挙げました。FXの値動きを見るには、日時を事前に把握し、予想値と発表された結果のギャップに注意しておくことが重要です。
下記は主な経済指標の種類と、これからその発表を迎える最短の日程です。
- 金利関連指標:各国中央銀行の金融政策
- 米・FRB政策金利(3月21日3時)
- 日・日銀政策金利(3月15日)
- 欧・ECB政策金利(3月7日21時45分)
- 雇用関連指標:
- 米・雇用統計(3月8日22時30分)
- 米・新規失業保険申請件数(2月14日22時30分)
- 物価関連指標:
- 日・CPI/消費者物価指数(2月22日8時30分)
- 米・PCEデフレーター(3月1日22時30分)
- 貿易関連指標:
- 米・貿易収支(3月6日22時30分)
- 米・財政収支(2月13日)
- 米・対米証券投資(2月16日6時)
- 景気関連指標:
- 日・GDP(2月14日8時50分<1次速報>、3月8日8時50分<2次速報>)
- 米・ISM製造業景気指数(3月2日)
- 米・ISM非製造業景気指数(3月6日)
- 米・鉱工業生産(3月15日22時15分)
- 米・耐久財受注(3月26日21時30分)