◆歌手の西野カナさんが、今週末の横浜アリーナの公演を最後に無期限の活動休止に入る。ファンの間では「永久保証じゃなかったの?!」と悲鳴があがっているという。西野さんの代表曲『トリセツ』をご存じない方のために、野暮を承知で解説しよう。自分自身の「取扱説明書」、すなわち女の子が彼氏にどう「取り扱って」ほしいかを歌った曲である(取扱説明書というより注文書だと思う)。ずっと大切にしてくれれば、私は「永久保証」というわけだ。

◆女性の取り扱い方なら、この本に勝る指南書はない。10万部を超えるベストセラー、黒川伊保子著『妻のトリセツ』である。 「妻とは険悪だったけど、離婚は避けられそう」などという感謝の言葉が続々編集部に届いているという。僕も早速購入して読んだ。あっという間に本が赤線と付箋でいっぱいになった。それほど役に立つ内容満載である。

◆こうも「トリセツ」ばやりだと、株式市場の「トリセツ」もほしくなる。検索すると、なにやらそのような書籍がみつかるが、期待しないほうがいいだろう。株式市場をどう取り扱ったら良いのか、その「説明書」を書くのは、どんなに高名な経済学者でも無理だ。経済学の教科書の印税で家を建てたというグレゴリー・マンキュー教授はハーバード大学の偉い先生だが、そのマンキュー教授をしても、「どんな株を買ったらいいの?」というお母さんの質問に何十年も答えられていないというのだから。

◆株式市場の取扱説明書は、投資の神様にしか書けない。それでもプロかって?はい、僕にできるのは「取扱説明書」を書くことではなく、「取扱注意」のレッテルを貼ることくらいだ。壊れやすいので運搬には、いや運用にはご注意ください。株式投資は「取扱注意」で。その点に関しては、ずっとこの先も変わらない。「永久保証」である。