今回のポイント
・円高とは「円の価値」が「他国の通貨」より「上昇」して強くなること。
・円安とは「円の価値」が「他国の通貨」より「下落」して弱くなること。

円の価値は日々変わっている!?

100円の価値は、昨日も今日も3ヶ月後も変わらないと思っていませんか!?日常生活において円の価値を意識することは多くはありませんが、輸入品の値段が高くなったり、インバウンドと呼ばれる外国人が大挙して日本に観光にやってくるようになったりする事象は、円の価値が変動することと関係があります。

2012年には1ドル70円台で推移していた米ドル/円相場は2015年には1ドル125円台にまで「円安ドル高」が進行しました。

70円から125円へと「価格が上昇」しているのになぜ円安なの!?と不思議に思うかもしれません。実はこの米ドル/円レートというのは、皆さんが米国の通貨1ドルを手に入れるために支払わなければならない金額なのです。

これを「交換レート」と呼ぶというのは前回のコラム「FXってなあに!?」でご紹介しましたが、米ドル/円レートが上昇していくというのは、1ドルを調達するのに必要な円が増えていくということであり「円の価値が下がっている」ということなのです。これを円安ドル高と呼びます。

円安で輸入品の価格は上昇した

例えば欧州などのブランド品などの製品を購入するとしましょう。

米国や欧州での製品価格は変わらなくても、円安になれば日本にいる私たちがそれを購入するためにはより多く円が必要になります。つまり、支払う価格が上昇するということですね。輸入品の価格は円安によって上昇してしまうのです。

逆に円が強くなる円高となれば、輸入品の価格は安くなりますね。皆さんが日々変わらないと思っている円の価値というのは、刻々と目まぐるしく変動しており、輸入物価にも大きく反映されているのです。

アベノミクスで海外から見れば日本の物価は安い

昨今海外からの旅行者が増えた、ということは皆さんも実感しているでしょう。外国人の日本への旅行がブームとなっている背景にも「円安」があります。

アベノミクス以降の6年で、円は米国の通貨ドルだけではなく、欧州や、中国、韓国など世界各国の通貨に対しても円安が進みました。外国人から見れば、円に対して自国の通貨が強くなるわけですから、日本に旅行すればたくさんのものを買うことができます。

逆に私たち日本人が海外に行く場合は、円安によってより多くの円が必要となりました。海外旅行は、円高だった時と比較すると随分高くなってしまいました。

円高円安が企業にもたらす影響は?

日本の輸入企業は、例えば米国製品を輸入する際には米国企業にドルで支払いをしますので、支払いをする際、ドルの価値が高いより安い方が得になります。よって輸入企業は円高ドル安の方が利益を上げることができます。

一方、輸出企業は売上金として輸出先から外貨を受け取ります。米国に輸出する場合はドルで支払ってもらうわけですが、ドルのままでは国内で使うことができません。従業員への支払いには円が必要ですし、決算書は円で計算しなくてはなりません。

輸出企業は売上金のドルを日本円に換える必要があるのです。その際には手持ちのドルの価値が高い方が、円に換える時に優位ですね。つまりドルの価値が安いよりも高いほうが、収益が大きくなるのです。

また、「円」の価値が高くなる円高ドル安になると、海外市場に対しての日本製品の販売価格が高くなってしまうため、他国との競争力が低下し日本製品の売れ行きが鈍るという側面もあります。円高となれば輸出減となる可能性が高まるとして輸出企業の株価は売られやすくなるのはこのためです。