表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。
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PORTFOLIO OVERVIEW(12 Sep 2017)
今週もドルのポジションは大きなショートを継続。米国の成長性が他国より劣り、かつドルはいくぶん割高に見える。
主なポジションの変更点は豪ドルがショートからロングに転換したことである。今年これだけ上昇した後となっては、もっと早く豪ドルをロングにしておけばよかったと認めざるを得ない。今は良好な経済が豪ドルの相対的割高さを相殺している。
ロングポジションの構成は過去2-3カ月で変わってきた。夏はユーロと北欧通貨が最大のロング通貨だった。今はそれらの合計は19.4%であり、7月後半から20%も低下した。相対的に景気サイクルのモメンタムが失われたことと、それらの通貨が上昇したためバリュエーションの観点からの魅力度が薄れたことが理由である。
新たに最大のロングになったのはカナダドル。それに英ポンド、日本円が続く。この「トリオ」が同時にロング通貨となるのは珍しい。というのはこれらの国々の経済構造は極めて異なっているからだ。カナダドルのロングの要因はバンク・オブ・カナダの利上げであり、英ポンドは無視できないほど安い。日本は景気サイクルのモメンタムがしっかりしている。これらのロング通貨のドライバーはそれぞれ違っていて、それがうまい具合にポートフォリオのファクターの帳尻を合わせている。
ショートの側ではニュージーランドドルとスイスフランのショートを継続。NZドルは割高であり、かつ景気も弱い。スイスフランは割高ではあるものの、他の欧州で見られるように景気自体は良好である。
過去6カ月、通貨の動きがインフレに影響を与えてきたと思われる。グローバル景気は長きにわたって堅調であるが、この強い成長と弱いインフレというパズルは、それ自体で解決に向かうようだ。すなわち成長が続けば、インフレも上昇してくるだろう。このような環境では、堅調なインフレの国の通貨が良いパフォーマンスをあげると予想している。なぜなら市場はそれらの国の中央銀行が金融緩和から出口に向かうと予想するからである。われわれの見通しでは、その状況は北東アジア(人民元、韓国ウォン、台湾ドル、日本円)にも及ぶだろう。
DeepMacro
DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。
DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明
概要
DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。
キーファクター:
成長要因:
強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。
キャリー:
高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。
バリュエーション:
割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。
グローバル・リスク:
投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。
ポジション調整:
モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。
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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから