※表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。

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PORTFOLIO OVERVIEW(18 July 2017)
今週、ドルのネット・ポジションはショートを維持。とは言え、-4.6%と前週の-12.1%からはショート幅を削った。

コアのロング通貨は引き続き欧州通貨(ユーロと北欧)と円である。スカンジナビア(北欧)のスコアは成長要因・バリュエーションともに良好であるが、集中リスクを避けるため若干ながらウェイトを調整してロングを抑制している。日本経済の強さは目を見張るものがある。新しい金融緩和策も大幅な円安もないにもかかわらず堅調に成長しているからだ。日本のDeepMacroインフレ・ファクターは上昇し始めている。日銀はすぐには緩和策を止めないだろうが、市場はポジティブな成長ストーリーに報いるだろう。

ショート・サイドは、成長要因の弱さから英ポンドが再度ショートの筆頭となった。英国のインフレ・ファクターは最近だけでなくここ数カ月ずっと弱いままだ。ポートフォリオは豪ドル、ニュージーランド・ドル、カナダ・ドルをショートしているが、ポジションは全般に適度である。その理由はそれらが「中国関連」だからではなく、単に割高に思えるからである。

グローバル経済は米国の独り勝ち(FEDだけが唯一のゲームプレーヤー)といった状態から、他の国でも金融政策の変更を模索しようという段階に移行しつつある。この状態の変化に従ってドルも広範な通貨に対する上昇から適度なドル安へと変化するのは当然であろう。

付言すると、中国は安定している。われわれの「DeepChina」リサーチは6月の製造業の改善(PMIと鉱工業生産)を正確に予想していた。不動産市場に対する懸念は残るが、これ以上の悪化はないだろう。資本の国外流出の圧力は引き続き残り、累積の水準は今年の上期に過去最高に達したが、規模という点について言えば2016年の初頭または後半に見られたものとは比べ物にならない。従って、コモディティ及びコモディティ通貨にとっての中国リスクは以前に比べてほとんどないと言えるだろう。

DeepMacro

DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明

概要

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。

キーファクター:

成長要因:

強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。

キャリー:

高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。

バリュエーション:

割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。

グローバル・リスク:

投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。

ポジション調整:

モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。

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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから