サンプラザ中野だー!

 「アイルケ」とは日経新聞朝刊に連載中の小説のことだ。渡辺淳一氏が書いている。氏はかの大ヒット作「失楽園」も日経新聞に連載していた。氏が連載を始めると何故か日経平均が騰がると言われているらしい。実は俺は失楽園は名前しか知らない。検索したところ、1997年のヒット作とあった。その前の年に連載されていたのだろうか。そのころはまだ日経新聞なぞ読むような偏った?人間ではなかったのだ。ふふ。映画にもテレビドラマにもなったがどちらも見ていない。何故ならば中高年の人々の間でのみ流行っていると印象付けられたからだ。今で言う「冬ソナ」現象だね。若者はなかなか見ようとは思わないらしいよ「冬ソナ」。

 いつぞや「サ○エさんの視聴率が上がると、株式市場は低迷する」との発表があった。これ「クオンツ」という分析手法を使って相関関係を導き出したのだそうだ。そのクオンツを真面目にやっている方と話をする機会があった。そのときアイルケの話が出た。アイルケの中に、主人公がヒロインを「抱きしめる」という文章がよく出てくる。恋愛小説なのだから普通なのだが。しかしときどき「○○と抱きしめる」あるいは「○○と抱きしめた」と出てくる日がある。その日は日経平均が下がるのだそうだ。本当なのだそうだ。それを聞いてから俺はアイルケをちゃんと読むようになったのだ。

 ちなみにここで「○○と」と○を使用したのは、クオンツ関係者にきちんと承諾を取っていないからだ。「中野さんは何故その日に下がると思いますか?」と質問された。俺に質問をした時点である程度話が広まるのは覚悟の上だろう。だから書いちゃった。でも○で伏せておいた。来週までに確認を取ってみる。問題がなければ○の中身を書く。乞うご期待、である。

 で、俺はアイルケにはまっている。平易な文章ですらすらと読ませてくれる。大御所だから難しいのかと思っていたらそうではなかった。大御所でも、流行作家は読ませなくては成り立たない。さすがの文章である。

 ここ数日俺は自分の書いた小説の修正に余念がない。「大きな玉ネギの下で〜storyof '85」という。1985年の高校生の恋愛物語だ。4月下旬に講談社から出る。ぜひ買って欲しい。それはさておき、小説には罠が必要だと思う。作者が読者に仕掛ける罠が、である。そこで考えた。ひょっとしてこのアイルケのヒロインは独身なのではないか、と。たぶん違うとは思う。俺が読んでいないところに旦那との描写があったかも。でも、そんな風に思ったら、さらに興味がわいた。