サンプラザ中野だー!
俺の阪神ファン歴もすでに30年を越えた。思えばその間一度しか優勝していない(トホホ)。18年前の1985年、バース・掛布・岡田のクリーンアップが打ちまくった。圧倒的に強かった。大阪は燃えた。そして「嬉しいときの道頓堀ダイブ」の風習が生まれたのだ。
それはさておき、今年の阪神は本物だ。確かにここ数年も春先だけは強かった。そして「今年は本物だ!」と言われていた。入梅までは強いのだ。でもその勢いはあっけなく失速した。だが今年は強さが違う。強さの質が違っているように思うのだ。去年までのそれが「固い強さ」だとしたら、今年のそれは「柔軟な強さ」と思う。「おらおらー!」と突進していく強さがある。強いことは強いが、脆さを内包している。「脆くない強さ」それはゆるゆるとして強い。有体にわかりやすく言えば「建築」だ。高層ビルは揺れるから地震に強い。そして柳だ。柳は風に揺らいで強風をやり過ごす。枝が折れないのだ。相手はやりにくいと思う。そんな強さには対抗の仕様がない。今年の阪神タイガースにはそれを感じる。
その「ゆるゆるとした強さ」を喚起させる主要因は、四番バッター・浜中おさむの存在だ。七年目の24歳、和歌山県出身の若虎である。現在セリーグの二冠王である。この男身長は179センチ。体重は84キロ。野球選手としてはいたって普通の体つきだ。しかし、柔らかいのだ。何が柔らかいのかは判然としないが、とにかく柔らかい。表情も柔らかい。たぶん筋肉も柔らかい。そして何より心が柔らかいのではないかと思う。
彼のバッティング・センスをいち早く見抜いた野村克也氏はこう評した。「彼はストレートを待っていて、フォークを打てる」。つまりヤマを張りつつも変化に対応できる卓越した能力がある、と見抜いたのだ。卓見である。ライバル巨人は怪我人続出である。同じく中日は内野の守備陣が心もとない。風は阪神に吹いているようだ。
阪神が優勝した1985年。日本はバブル元年だった。阪神の順位と日本経済の良し悪しがリンクしているとしたら、今年は新たな好景気の入り口となるかもしれない。しかも柔軟で変化に対応できる好景気の、だ。
そんなわけで俺は阪神電鉄の株を買ったよ。目指せ、優勝!たのんまっせ。
サンプラザ中野:数々の爆発的ヒット曲を生み出てきた「爆風スランプ」で活躍。現在新たに「サンプラザ中野とノンスモーカース」を結成準備中。
自身のホームページでも意外な側面を見ることができる。
http://www.kk.iij4u.or.jp/~sunplaza/