ベッセントによる米長期金利上昇阻止の可能性

ベッセント長官は米長期金利上昇を懸念しているとみられてきた。最近の円安阻止への協力も、日本の長期金利上昇の影響が波及するのを阻止することが最大の動機との見方が少なくなかった。その意味では、今回の米財務省の買い入れオペ強化は、少なくとも11月の米中間選挙までの間、長期金利上昇を抑制するべく、具体的な行動をとったということではないか。

米長期金利上昇抑制策としては、2011年に行われたツイストオペ(オペレーションツイスト)が知られている。これは長期国債を購入する一方で短期国債を売却し、長期金利を低下させる一方で短期金利を高めに保つ政策で、他には、FRB(米連邦準備制度理事会)が米国債を大量に購入する量的緩和などもある。こうした政策を駆使して、長期金利上昇の回避を目指す可能性が注目されそうだ。

日本にも長期金利上昇抑制を要請か=消費税減税に影響も

米国の長期金利上昇阻止の動きは、日本にも影響する可能性があるのではないか。日米の長期金利は基本的に連動している(図表1参照)。その意味では米長期金利の上昇を阻止することは、日本の長期金利の上昇を抑制するか、または低下させる可能性があるだろう。

【図表1】日米の10年債利回りの推移(2025年9月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

またベッセント長官は、日本の長期金利上昇の影響が波及して米長期金利上昇の一因になっていることへの懸念も強いとみられてきた。その意味では日本に対しても長期金利上昇阻止の要請を強める可能性はある。仮にそうなった場合は、高市政権が進めようとしている消費税減税にも影響する可能性があるだろう。

日本の長期金利上昇一巡なら円安の可能性も低下か

こうした日米の長期金利の動向は、米ドル/円にも影響する可能性があるだろう。この間の米ドル高・円安は、日本の財政規律への懸念を受けた円売りが主因との見方が多い。7月末に日米が協調して円買い介入を実施し一時155円台まで米ドル安・円高となったものの、その後159円台まで米ドル高・円安に戻したのは、財源が曖昧なままで消費税減税を進める動きを受けて、財政規律への懸念から長期金利の上昇が一段と進んだことが手掛かりになった可能性がある(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日本の長期金利(2026年7月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そうした見方からすると、米長期金利上昇に歯止めをかけようとする動きが、日本の長期金利上昇の一巡にも影響するようなら、それを通じて米ドル高・円安の一巡、さらに日本の長期金利が低下する場合は米ドル安・円高に戻る要因になる可能性もあるのではないか。