先日、CMプランナーの山崎隆明さん(ワトソン・クリック)との勉強会に参加しました。山崎さんは、これまで4回、コインチェックのTVCMでご一緒してきた方です。山崎さんと会う時は、短い時間でも、いつも頭の中をかき混ぜられて帰ってきます。
山崎さんが繰り返し語るのは、「広告は世界一の嫌われ者である」という前提です。誰もCMを観たくてテレビをつけているわけではありません。視聴者は早送りボタンに指をかけ、本編に戻ろうとしています。その生理的な拒否反応をくぐり抜けて、いかにメッセージを届けるか。それが広告の仕事なのだと教わりました。
そして、成果の出るTVCMは、ロジックの先にしか生まれません。市場分析を積み上げた最後の一段で、一人の人間の「狂気」が要る。理屈だけでは詰めきれない違和感、説明しきれない飛躍。その違和感こそが早送りボタンを押そうとする視聴者の指を止めるのだと、山崎さんの仕事を見ていて痛感します。
AIが平均点の表現を量産する時代だからこそ、平均から逸脱する勇気は、いまのところ人間にしか宿っていないように思います。「これは絶対にこっちだ」と腹をくくる感性の価値は、むしろこれから上がっていくのではないでしょうか。
