28年前、私は資本市場、或いは広義の金融業界の中で、当時とてもイノベーティブなビジネスを創りました。破産債権や更生債権などを買い取ってマネタイズするビジネスで、それはいわゆる不良債権ビジネスとして、いずれ巨大な利益を生むビジネスに確立していきました。当時日本には破産債権などの不良債権を買い取るという取引が全く存在しなかったので、私がそのようなことを始めようとして弁護士や会計士の方に相談に行っても、全く相手にしてもらえず、仕方なしにそのビジネスを実現するのに利用することになる法律の立法に関わった官僚の方に相談に行くような状況でした。
そんな中でもこのビジネスを始める最初の取引の時、しっかりと相手をして下さったのがO弁護士でした。そのO弁護士と、3ヶ月前に実に27年ぶりに再会しディナーしました。当社の生みの親のひとりであり、当社の社外取締役も務められていた、元ソニー会長の出井伸之さんに関わる或る集まりで、O弁護士の事務所の方と出会ったのがきっかけでした。3ヶ月前のディナーは昔話に花が咲き、大いに盛り上がり、その結果また昨日、出井さんに近しかった方々とO弁護士とのディナーがありました。
濃密で、優しくて、愛に包まれた、至極の時間が流れました。新しいことを創造するには、特別な信念とリスクテイクの気概が必要です。そしてそういうものを持った人たちは、どこかで惹き付け合うのかも知れません。
掬水月在手 弄花香満衣 ( 『春山夜月』から)
水を掬えば月は手に在り、花を弄すれば香は衣に満つ
この辺りの感覚は、これからも大切にしていきたいと思います。