一年を通して慌ただしい日々を過ごしていますが、特に5月から6月にかけては一年で最も忙しい時期かもしれません。自分のカレンダーを見ると、朝から晩まで予定がぎっしり。まるで空白のないタイルのように、すべての時間が何かしらの予定で埋まっています。

この時期は、年度決算やIR対応に加えて、株主総会の準備が本格化し、評価時期でもあるため1on1ミーティングも連日行われます。海外投資家の方から、「CEOとしての時間配分はどうなっているのか?」と聞かれることがあります。中長期の企業価値向上に向けて、どれだけ戦略的な活動に時間を割けているのかを見極めようとしているのだと思います。

今月は、投資家や社員といったステークホルダーとの対話に多くの時間を割きますが、これも企業価値を支える重要な活動のひとつです。他の時期は、グループ全体や各グループ会社の成長戦略の検討・策定、その手段としてのM&Aに多くの時間を費やしています。それ以外にも、IR活動や国内子会社の役員・社員との連携、採用活動やネットワーキングなど、人と話すことにも注力しています。どれも重要な仕事であり、時間がいくらあっても足りないと感じる毎日です。それでも、睡眠を削るわけにはいかず、日々そのバランスに悩んでいます。

世の中には、私よりもはるかに広い範囲を管掌し、より多くの責任を背負っている方々がいます。また、災害支援に従事されている方々や、24時間体制で人命と向き合っている医療従事者の方々など、比べものにならないほどの重責と精神的負荷を抱えておられる方々です。そういった方々は、どのように時間をやりくりし、どうメンタルを保っているのか、尊敬の念とともにいつも考えさせられます。一方で、「忙しい」人ほど、自らの意思でやることを増やしているのではないか、とも思います。私自身もそうです。やりたいことが多すぎて、削ることができない。つまり、「暇がない」というよりも、「時間を余らせることなく、やりたい・やるべきと思うことに自らの時間を投じている」と言ったほうが正確かもしれません。

そういえば、当社のファウンダーである松本も、私にCEOのバトンを渡したときに「少し時間ができる!」と言っていましたが、結局その時間もグループ全体の価値向上のための仕事に費やしていて、今も変わらず忙しくしています。

改めて思うのは、時間こそが人生で最も大切な資産なのだということです。お金のように貯めておくことも、運用して増やすこともできず、一度使えば戻ってこない。その限られた時間をどう使うかが、人生の質と方向性を決めていくのだと、日々実感しています。私は昔から、「どちらか」ではなく「両方」を選びたいタイプです。やりたいことは全部やりたいし、どれも諦めたくない。だからこそ、いつも動き回っている。でも、それが私にとっての「時間が豊かな状態」、いわば「時間リッチ」なのだと思います。

これからも忙しくありたいと思っていますし、人との対話から学びを得る姿勢は持ち続けたいと思います。今日の午後も経営者が集まるラウンドテーブルに参加します。きっとそこで新しい「やりたいこと」や「やれること」が見つかるはずです。そして、見つかったら、きっとまた取り組むことになるのでしょう。