来週は8か月ぶりに、ロンドンを中心とする欧州出張が予定されています。英国は、本年1月8日から電子渡航認証(ETA)を導入しました。年始にそのニュースを目にしていたため、忘れずに申請することができましたが、米国のESTAに比べると、まだ認知度は低いようです。なお、EUも2025年中の導入を目指して検討中であり、日本も導入を検討しているとのこと。ただ、日本は「2030年までに」と悠長な計画なようですが、世界の動きに合わせてもっとスピード感を持って進めるべきではないでしょうか。
電子渡航認証の主な目的は、国境管理、安全保障、移民管理ですが、財源確保(収益化)の側面もあると思います。たとえば、米国のESTAは21ドル(約3,200円)、英国のETAは現在10ポンド(約1,900円)ですが、将来的に16ポンド(約3,000円)への値上げが予定されています。システム開発や運用コストがかかるのは当然ですし、この制度を導入することで渡航者が減少するリスクを懸念する声もあるのかもしれませんが、それらを上回るメリットを見込んで、多くの国が導入を進めているのでしょう。
日本の場合、この制度を導入することで渡航者が減少するリスクはほぼないように思います。日本はコンテンツ力が非常に高く、地域ごとに異なる魅力を持ち、モノやコトの体験も充実。さらに、世界トップ3の資本市場を有し、ビジネス目的での来日も増加傾向にあります。こうした背景を考えれば、電子渡航認証を導入しても、訪日者数に大きな影響を与えることはないでしょう。
仮に日本がビザ免除国の渡航者を対象に電子渡航認証を導入するとどうなるでしょうか?訪日外国人の約8割がビザ免除国からの渡航者とすると、2024年の訪日外国人約3,700万人×80%=約3,000万人が対象となります。申請費用を3,000円とすれば、年間900億円の収入が見込めます。有効期間を2年とした場合、毎年この額にはなりませんが、訪日者数は増加傾向にあるため、安定的な収入源となる可能性は十分あります。この収入を安全保障の強化だけでなく、地方活性化や観光インフラの整備、伝統文化・地域産業の支援、人材育成、オーバーツーリズム対策、災害復興などに活用できれば、日本の持続的な発展にも寄与すると考えます。
日本が電子渡航認証を導入するには、法改正や制度設計、システム開発、インフラ整備、対象国との調整など、時間がかかるのは確かです。しかし、多くの国がすでに導入を進めている中で、日本はもっとスピード感を持って対応すべきではないでしょうか。世界は今、急速に変化しています。地政学リスクの変化、人材不足の深刻化など、あらゆる課題に対して迅速な決断が求められる時代です。日本も、今後の安全保障や移民政策を見据え、自国の未来を守るために積極的かつ迅速に行動しなければなりませんね。
そんなことを考えながら、来週、英国へ向かいます。あ、その前に、フルマラソン大会が控えています。スピードが大切だ!と言いながら、私のマラソンタイムは一向に速くなりませんが・・・。そういえば、ここまで書いてきて気づきましたが、今日は2月13日、「NISAの日」でしたね。NISAについて触れずにここまで来てしまいました。強引につなげるようですが、長期的な視点を持つことの大切さという点では、電子渡航認証もNISAも同じかもしれません。私のマラソンも、焦らずじっくり取り組むことが大事でしょうか。いや、それでも少しはスピードを上げたいところです!