米トランプ大統領の発言に振り回される日々が、休みなく続いています。そのスピード感もさることながら、パワーアップも著しいです。

トランプ氏は、法律や規制が複雑で多すぎるという考えで、第一次政権時に、立法手続きに「2 for 1」の原則、つまり、1つの新法を制定するには2つの法律を廃止するという方針を掲げていました。これを今回は「10 for 1」とし、10の法律を廃止すべし、と定めました。

さすがにそのまま実行できるとは思えませんが、方針のアグレッシブさは一次政権時の5倍です。

規制の見直しについては、もうすぐ動き始める金融規制に注目したいと思います。昨日FRBのパウエル議長は、銀行の資本規制について、「早期に決着できるだろう」と発言しました。FDIC(連邦預金保険公社)の暫定会長トラビス・ヒル氏も少し前に、「成長を促すよう金融規制を全面的に見直す」と発表しています。資本規制や厳格なストレステストなど、多方面で整理の対象が考えられるでしょう。

これまでのトランプ氏の政策は、関税や財政削減策など、景気に対して積極的にポジティブなものではありませんでした。しかし、世界的に強化が打ち出されている金融規制が想定より緩和的になれば、間違いなく米国景気にプラスです。加えて、法人税の引き下げや個人の減税継続などが叶えば、経済の好循環が、少なくともアメリカの国内では回り始めると思われます。

では、海外、特に中国との関係はどうなるのか。その中国が保有する米国債はどうなるのか… 

一次政権時よりパワーアップしているだけに、不透明要因は数えきれないですが、アメリカの経済が減速する要因は今のところ限定的と思います。分散・ヘッジの比率は高めつつも、基本的にはアメリカには当面強気で臨む時だろうと思います。