直近のJ-REIT価格動向

J-REIT価格は軟調な動きが続いている。東証REIT指数は1月18日に2022年来安値を更新すると、1月19日には1,795ポイントと1,800ポイントを割り込んだ。その後、やや反発はしているが、1月25日時点では1,850ポイント台を回復出来ていない。

株式市場では日銀が1月の政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の範囲を変更しなかったことを受けて為替が円安に転じたこともあり、価格が回復傾向にある。

その一方、内需株であり円安の恩恵を受けない利回り投資商品であるJ-REITについては、12月にYCCの範囲を拡大し、実質的に0.25%利上げを行った影響が出ていると考えられる。具体的に2022年末と1月25日の終値で比較すると、日経平均株価は5%上昇したが、東証REIT指数は2.9%の下落となっている。

外国人投資家の需要回復がJ-REIT価格上昇のカギ

2022年の投資家の売買動向を見ると、今後のJ-REIT価格回復の条件が見えてきそうだ。J-REIT価格は1月の急落後、端的には夏までは上昇基調であったが、その後は下落基調となった。

価格上昇を牽引した投資主体は外国人投資家であった。図表の通り3月を中心に7月までは買越し基調となっていた。夏以降の価格下落を押しとどめた主体が、投資信託と証券会社の自己売買部門であった。

【図表】2022年の投資部門別差引売買金額推移(単位:億円)
出所:東京証券取引所公表資料を基にアイビー総研(株)作成

前年にあたる2021年は、東証REIT指数が初めて年平均で2,000ポイントを超えた年となったが、2022年は1,960ポイントとなった。外国人投資家の動向を見ると2021年最大の買越し主体となり、月平均で200億円を超える買越しを行ったが、2022年は投資信託に次ぐ月平均で60億円程度の買越しに留まった。

現在の東証REIT指数は過去と比較すれば、低い水準ではない。例えば2018年から2019年の平均は1,871ポイントとなっている。その2年間と比較すれば分配金は増加しているが、東証REIT指数が2000ポイント台を安定的に維持できる水準までとはなっていない。つまり、安定的に2,000ポイント台を維持するためには、2021年のように外国人投資家の大幅な買越しが必要と考えられる。

なお、2022年末のコラムで2023年の東証REIT指数の水準を1,700ポイントから2,100ポイントのレンジと記載している。これは外国人投資家の大幅な買越しも期待出来るとして上値水準を設定しているが、そのための要素については次回のコラムで記載する予定としている。