120日MAと52週MA
ユーロ/米ドルは9月末の0.95米ドルから、11月は一時1.05米ドル近くまで大きく反発した。2021年1月の1.23米ドルからユーロ安・米ドル高トレンドが展開してきたが、それは9月の0.95米ドルで終わったのか、それともまだ続いているのだろうか(図表1参照)。
2021年1月からユーロ安・米ドル高トレンドが続く中では、基本的に120日MA(移動平均線)をユーロは超えられなかったが、最近にかけてのユーロ反発は、足元で1米ドルの120日MAを大きく超える動きとなっている(図表2参照)。
前回のユーロ安・米ドル高トレンドは、2018~2020年に展開したが、ユーロ安トレンドが続く中ではユーロは120日MAを大きく超えられなかったものの、底を打ってユーロ高トレンドに転換すると120日MAを大きく上回る動きとなった。
要するに、120日MAがユーロの上値を抑える「レジスタンス」から、下値を支える「サポート」に転換するのは、ユーロ安からユーロ高へのトレンド転換時に起こる目安の1つだった。その意味では、ユーロ/米ドルが、足元で1米ドルの120日MAにサポートされて上昇が続くかは、ユーロ安からユーロ高へのトレンド転換を判断する上で注目されることになりそうだ。
トレンド転換を判断する上では、経験的にはより長い期間のMA、例えば52週MAの方が「ダマシ」が少なかった。ユーロ/米ドルの52週MAは足元で1.06米ドルなので、まだユーロはそれを超えるまでには至っていない(図表3参照)。
以上を整理すると、ユーロ安・米ドル高トレンドがまだ続いているか、それともすでにユーロ高・米ドル安トレンドへ転換したかをプライス・パターンから判断する上での目安としては、このまま120日MAの1米ドルがサポートされるかと、52週MAの1.06米ドルを大きく上回る動きとなるかに注目したい。
米ドル/円について
同じ考え方で、米ドル/円についても確認してみよう。米ドル/円の52週MAは足元で128円程度なので、なおそれを大きく上回る中では、米ドル高・円安トレンドの転換を議論するのは時期尚早と思われる(図表4参照)。ただ、120日MAとの関係で見ると、少し印象は違うようだ。
米ドル/円の120日MAは足元で140円程度(図表5参照)。要するに、いわゆる「CPIショック」以降の米ドル急落で、今回の米ドル高・円安トレンドの中では初めて、120日MA割れ含みとなっていたわけだ。この120日MAとの関係で見ると、一時150円を越えるまで展開した歴史的円安トレンドは、「CPIショック」以降の動きの中で徳俵まで追い込まれていたという言い方になるのではないか。
以上のことから、この先米ドル/円が140円を大きく割り込んでくるようなら、チャート的な観点からはついに歴史的円安が終わり、円高トレンドへ転換した可能性に注目が高まることとなりそうだ。