東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。207円高の28,086円で寄り付いた日経平均は9時30分過ぎに65円高の27,944円まで上げ幅を縮め節目の28,000円をわずかに割り込みましたが、そこから切り返すと10時20分過ぎに298円高の28,177円まで上昇し283円高の28,162円で前場を終えました。277円高の28,156円でスタートした後場の日経平均は13時40分過ぎに354円高の28,233円まで上昇すると結局316円高の28,195円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

NEC(6701)が6.0%高となりました。自己株式を除く発行済み株式総数の2.46%にあたる670万株と300億円を上限とした初めての自社株買いを発表したことで買いを集めました。川崎重工業(7012)も4.1%高となりました。政府が水素を運搬する大型船舶を受け入れられる港湾を複数整備する方向で調整に入ったと伝わるなか水素運搬船を手掛ける川崎重工業に物色の矛先が向かいました。アスクル(2678)も一時5.4%高となり年初来高値を更新しました。顧客が外部検索サイトから商品詳細ページなどに直接訪問できるようになり検索からの流入数が増えたことなどで8月の単体売上高が前年同月度比8.1%増となったことで買いが優勢となりました。

オリンパス(7733)も一時3.1%高となりました。工業用顕微鏡などを手掛ける科学事業を米投資ファンドのベインキャピタルに4276億円で売却すると発表したことで事業の選択と集中を好感した買いが入りました。ホンダ(7267)も一時2.3%高となり年初来高値を更新しました。韓国電池大手のLGエネルギーソリューションと米国で電気自動車向け電池工場を新設すると発表したことを材料視した買いが入りました。

また、原油価格の上昇を受けて石油関連株が高く、INPEX(1605)が4.3%高となったほか、出光興産(5019)が一時3.1%高、ENEOSホールディングス(5020)も一時3.2%高となりました。さらにオイシックス・ラ・大地(3182)がシダックス(4837)に対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表したことで5.4%高となりましたが、シダックスはTOBの買い付け価格が昨日の終値を大きく下回る水準だったことで5.4%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は316円高となりました。昨日の米国市場は米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化を懸念した売りが続き続落となりましたが、昨日に760円を超す大幅な下落となっていたこともあって自律反発狙いの買いが入り反発となりました。昨日に割り込んだ節目の28,000円を素早く回復したことで下値への警戒感が一旦は後退しそうですが、こうしたなかで明日も買いが優勢となった場合には上値抵抗線として意識されやすい25日移動平均線(28,265円)を上回り水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお日本時間の23時には8月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)