東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅続伸となりました。76円高の28,623円でスタートした日経平均は寄り付きを安値に上げ幅を広げると10時50分前に310円高の28,857円まで上昇し283円高の28,830円で前場を終えました。さらに上げ幅を広げ321円高の28,868円でスタートした後場の日経平均は13時40分前に350円高の28,897円を付けた後も28,900円を小幅に下回って推移すると結局324円高の28,871円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第一三共(4568)が14.5%高となり上場来高値を更新しました。知的財産権の帰属を巡って米製薬企業のシージェンと争っている主力の抗がん剤「エンハーツ」に使われている抗体薬物複合体(ADC)技術に関し、米国仲裁協会が第一三共に知的財産権があると認めたことで買いを集めました。マツキヨココカラ&カンパニー(3088)も5.6%高となりました。統合による押し上げ効果に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で利益率の高い解熱鎮痛剤の販売も伸びたことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で72.8%増と大幅な伸びとなったことで買いが優勢となりました。同じく第1四半期決算を発表したサンドラッグ(9989)も10.8%高となり年初来高値を更新しました。2023年3月期の年間配当を従来予想から28円引き上げ100円にすると発表したことで買いが膨らみました。本決算を発表したディスカウント店のドン・キホーテなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)も11.5%高となり年初来高値を更新しました。物価高で消費者の節約志向が高まるなか2023年6月期の営業利益が前期比6.0%増の940億円となり34期連続の増益となる見通しを発表したことが好感されました。

一方で上期決算を発表したすかいらーくホールディングス(3197)が5.7%安となりました。新型コロナウイルスの感染拡大で家族客の回復が遅れていることなどから2022年12月期の営業利益の見通しを100億円から5億円に下方修正したことを嫌気した売りが出ました。同じく上期決算を発表したペッパーフードサービス(3053)も20.7%下落しストップ安となり年初来安値を更新しました。夕食時間帯の需要回復が遅れていることなどから2022年12月期の業績予想を下方修正し営業赤字が拡大する見通しとなったことや、株主優待制度の廃止を発表したこともあって売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は324円高となりました。寄り付き前に発表された4-6月期の実質GDPは前期比0.5%増、年率換算で2.2%増となり新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復したものの市場予想には届きませんでした。しかし、影響は限定的でインフレ懸念が一段と後退したことで先週末の米国市場が大幅上昇となったことから買いが優勢となり上げ幅を広げました。大幅高となり28,900円近くまで水準を切り上げてきたことで節目の29,000円や1月5日に付けた年初来高値(29,332円)回復への期待も出てきそうですが、先週末と本日の2日間で1,050円以上も上げ、25日移動平均線(27,581円)との乖離率も4.7%まで広がり利益確定の売りが出やすいなかで明日も堅調な地合いを維持できるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時30分には8月のニューヨーク連銀製造業景況指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)