東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに小幅に反発しました。日経平均は米国株安を受けて80円安の27,575円で寄り付くと取引開始から30分余りで130円安の27,525円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと11時前にプラスに転じ37円高の27,692円で前場を終えました。58円高の27,713円でスタートした後場の日経平均は13時50分に117円高の27,772円まで上昇した後やや伸び悩むと結局60円高の27,715円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
日清製粉グループ本社(2002)が一時4.5%高となりました。6月に実施した業務用小麦粉の値上げを前に駆け込み需要が発生し国内の製粉事業が好調だったことや、海外の製粉事業も小麦粉の値上げや円安で好調だったことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で20.8%増と大幅な増益となったことで買いが優勢となりました。アステラス製薬(4503)も一時3.8%高となり年初来高値を更新しました。ぼうこうがんの一種を対象とした新型抗がん剤のパドセブについて米製薬大手メルク(MRK)のがん免疫薬のキイトルーダとの併用療法を評価した試験で良好な結果が得られたと発表したことで買いが入りました。また、米上院が国内半導体産業支援法案について手続きを進めることを賛成多数で承認したことで半導体製造装置関連銘柄が高く東京エレクトロン(8035)が3.1%高、レーザーテック(6920)も5.5%高となりました。
一方で電動工具のマキタ(6586)が8.1%安となりました。原材料が高騰したことや中国のロックダウンで主力の中国工場の操業を止めた影響もあり第1四半期の営業利益が前年同期比で46.3%減と大幅な減益となったことで売りが膨らみました。カプコン(9697)も一時6.2%安となりました。前年同期に発売し好調だったバイオハザードシリーズ新作の反動が出て第1四半期の営業利益が前年同期比で48.9%減となったことで売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は60円高となりました。米ウォルマート(WMT)が業績の見通しを引き下げたことで消費関連株を中心に売りが出て昨日の米国市場が下落となったことから売りが先行しましたが、昨日同様に200日移動平均線(27,564円)をサポートに下げ渋ると米株価指数先物が堅調だったこともあり上昇に転じ上げ幅を三桁に広げる場面もありました。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を日本時間の28日午前3時に控えていることもあり引けにかけてやや伸び悩みました。そのFOMCでは0.75%の利上げが織り込み済みであることから市場の関心はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見に集まりそうで、景気や物価に対する認識に加え、9月以降の利上げペースなどについて議長がどのように言及するかが焦点となりそうです。
なお、3月決算企業の第1四半期決算発表が続いていますが本日も引け後に信越化学工業(4063)やファナック(6954)、SCREENホールディングス(7735)などが決算を発表する予定です。さらに27日の米国ではボーイング(BA)やフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)、クアルコム(QCOM)などの決算発表も予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)