米ドル/円もクロス円も「上がり過ぎ」

米ドル/円とクロス円では、中長期的ピークのタイミングが近いことが基本だったが、例外的に大きくズレた例もあった。米ドル/円の2000年以降の中長期的なピークは、2002年1月、2007年6月、そして2015年6月(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の推移(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

これに対して、クロス円の代表として豪ドル/円の中長期的なピークを見ると、上述の3回のピークのタイミングについて、後の2者については数ヶ月の前後にとどまったのに対し、2002年のケースは、米ドル高・円安終了後も、豪ドル高・円安トレンドは続いた(図表2参照)。では、2002年のケースは、他の2例と比べて、米ドル/円と豪ドル/円を取り巻く状況で何が違ったのか。

【図表2】豪ドル/円の推移(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

5年MA(移動平均線)かい離率で見ると、米ドル/円の中長期的なピークは、2015年のケースが最も顕著だが、それ以外の2例も5年MAを大きく上回り、「上がり過ぎ」懸念が強い中であった(図表3参照)。そして、豪ドル/円の5年MAかい離率を見ると、2007年と2014年に中長期的なピークを打ったケースは、「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた(図表4参照)。

【図表3】米ドル/円の5年MAかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表4】豪ドル/円の5年MAかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

一方で、2002年1月に米ドル/円が中長期的なピークを打って米ドル安・円高トレンドへ転換した時、豪ドル/円の5年MAかい離率はマイナス7%程度といった具合に5年MAを下回っていた。要するに、5年MAとの関係で見た場合、豪ドル/円は2002年のケースでは「下がり過ぎ」圏での推移だった。

2002年1月に、米ドル/円が135円でピークを打って、米ドル安・円高トレンドに転換したものの、一方で豪ドル高・円安トレンドは変わらずに続いたのは、米ドル/円と豪ドル/円の5年MAかい離率などで見た中長期的な評価が異なり、豪ドル/円は当時まだ「下がり過ぎ」圏にあったからと考えると辻褄は合いそうだ。

では、今回の場合はどうか。5年MAかい離率で見ると、米ドル/円も豪ドル/円も、中長期的な「上がり過ぎ」懸念がかなり強い状況となっているようだ。このように、中長期の評価が基本的に同じということなら、米ドル高・円安が米ドル安・円高に転換する時は、豪ドル/円も豪ドル安・円高に転換する可能性が高いだろう。