100円の大台に接近してきた豪ドル/円
円全面安が展開する中で、クロス円でも円の安値更新が続いている。その中で豪ドル/円も一時95円以上に上昇、100円の大台に接近するなど、2015年以来の豪ドル高・円安となった(図表1参照)。こういった中で、豪ドル/円の5年MA(移動平均線)かい離率はプラス20%近くまで拡大してきた(図表2参照)。
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少し気になるのは、豪ドル/円の5年MAかい離率は、1990年以降で見るとプラス20%以上に拡大した例は限られることから、足元でも中長期的な豪ドルの「上がり過ぎ」懸念がかなり高くなっている可能性があるということ。
ちなみに、1990年以降で見る限り、豪ドル/円の5年MAかい離率がプラス30%まで拡大したことはなかった。足元の豪ドル/円の5年MAは80円程度なので、今回もそれを30%上回ることはないとするなら、豪ドル/円は目一杯上昇しても105円を大きく上回るのは難しいといった計算になる。
念のため、米ドル/円なども、2015年の米ドル高値を上回る動きとなっているが、5年MAかい離率で見ると、米ドル「上がり過ぎ」懸念は、2015年のそれを大きく下回っているので、既に見てきた豪ドル/円の「上がり過ぎ」懸念と印象はかなり違いがある(図表3参照)。
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豪ドル/円は、この間日豪消費者物価購買力平価を超えられない、購買力平価がほぼ上限といった状況が続いてきた(図表4参照)。その購買力平価は、足元で100円を僅かに下回った水準と見られることから、購買力平価との関係で見ても、豪ドル「上がり過ぎ」懸念がかなり高くなっている可能性がありそうだ。
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以上見てきたように、豪ドル高・円安が幾つかの指標との関係でヒストリカルな限界圏に近付いているということは、円安が未踏の領域に入りつつあることの示唆か、そうでなければ米ドル/円や他のクロス円以上に豪ドル/円は先行的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性もあるため、一応要注意ではないだろうか。