東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は利益確定の売りが出て10日ぶりに反落となりました。日経平均は65円安の28,084円でスタートすると寄り付きを高値に下げ幅を広げ10時過ぎに337円安の27,812円まで下落しましたが、切り返し持ち直すと162円安の27,987円で前場を終えました。95円安の28,054円でスタートした後場の日経平均は直後に77円安の28,072円まで戻した後下げ幅を広げ節目の28,000円を再び割り込むと14時50分前に213円安の27,936円まで下落し結局205円安の27,943円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は3.8%安となっています。

2.個別銘柄等

横浜ゴム(5101)が一時4.6%高となりました。農機用タイヤなどを手掛けるスウェーデンのトレルボルグ・ホイール・システムズを約2700億円で買収すると発表したことで業績の拡大を期待する買いが入りました。ENEOSホールディングス(5020)も一時3.6%高となりました。ウクライナ情勢を受け原油価格が高騰したことで在庫評価益を積み増したことに加えて、金属事業で銅価格の上昇なども寄与することなどから通期の営業利益の見通しを4700億円から7400億円に上方修正したことで上げ幅を広げる場面がありました。浜松ホトニクス(6965)も4.4%高となりました。産業用機器分野の売り上げが増加しているほか、為替レートが想定よりも円安方向で推移していることなどから通期の営業利益の見通しを385億円から485億円に引き上げたことで大幅高となりました。三菱倉庫(9301)も4.0%高となりました。2025年3月期を最終年度とする3年間の経営計画を発表し、2025年3月期に連結営業利益を2021年3月期比70%増の200億円としたことや、自己資本利益率(ROE)を7%とする目標や3年間で300億円以上を目安に自社株買いを機動的に実施する方針も示したことで上げ大幅高となりました。

一方で三益半導体工業(8155)が5.3%安となりました。主力の半導体ウエハーの生産が旺盛な半導体需要にけん引されたことで高水準となったことで第3四半期の営業利益は前年同期比で35.3%増と大幅な増益となりましたが、通期予想を据え置いたことが失望となりました。マザーズ市場ではメルカリ(4385)が目標株価の引き下げが相次いでいることから8.1%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は205円安となりました。先週末の米国市場でダウ平均は続伸となりましたが、日経平均は9連騰で3,000円近くも上げ、25日移動平均線との乖離率も6.7%まで広がり短期的な過熱感が強まっていたことから利益確定の売りが出て下落となりました。しかし、一時330円以上下げながら日銀が長期国債を指定した利回りで無制限に買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を通知したことで日米の金利差が広がるとの見方から123円台前半まで円安が進んだことで下げ幅を縮め節目の28,000円を回復する場面もありました。引けでは28,000円を割り込んだものの一目均衡表の雲の上限(27,716円)を割り込むことなく下げ渋ったことから先週末までの堅調な地合いは依然として維持しているといえそうで、こうしたなかで3月末決算銘柄の権利付き最終売買日となる明日は配当取りの買いに加え、引けにかけて配当の再投資に絡む先物買いがみられるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)