右往左往する米ドル/円
米ドル/円は、年明け早々、2021年来の米ドル高値を更新すると一気に116円を大きく上回る動きとなった。ところが、翌週は113円台まで米ドル急反落。そして今週は、114円台で米ドル反発気味の展開となっている。
こんなふうに為替相場が右往左往する中で、当面の流れは米ドル高なのか、それとも米ドル安なのか、わかりにくくなったと感じている人も多いかもしれない。実は、米ドル/円は、2021年10月頃からすでに3ヶ月以上も、右肩上がりながら、概ね2%のレンジ中心での上下動が続いてきた(図表1参照)。
その意味では、先週にかけて米ドル高、米ドル安ともに、米ドル/円の当面の方向性が明確とならなかったのは、テクニカルな観点からすると、上述のように長く続いた2%中心のレンジ・ブレークに、結果的に失敗したことが大きく影響したと言えるだろう。
ちなみに上述のレンジについて、90日MA(移動平均線)との関係で見ると、90日MAを1%上回った水準が下限、そして3%上回った水準が上限といったレンジ中心での上下動が続いたということになる(図表2参照)。
長く小動きが続く中では、一般的にエネルギーが蓄積され、その結果、小動き終了とともに溜まったエネルギーの発散により一方向へ大きく動きやすくなる。2020年以降における似たような2回のケース、2021年1月と同9月末の米ドル/円一段高の始まりは、そういったメカニズムの影響が大きかった可能性も考えられる。
さて、2021年10月以降の米ドル/円は、90日MA(移動平均線)を1%上回った水準が下限、そして3%上回った水準が上限といったレンジ中心の展開が続いてきた。足元の米ドル/円の90日MAは113.4円程度。このため、それを1%上回った水準は114.5円、そして3%上回った水準は117円弱になる。
上述のように2021年1月と同9月末にはレンジをブレークすると、その後は一方向へ大きく動く展開となった(図表3参照)。その意味では、今回の場合もこのレンジを本格的にブレークした方向に、当面の米ドル相場の流れが決まる可能性を注目したい。