東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに大幅反落となりました。195円安の29,136円で寄り付いた日経平均は337円安の28,994円まで下落した後9時30分過ぎに219円安の29,112円まで持ち直すなど下げ渋る場面もありましたが、上値は重く下げ幅を大きく広げると前引け間際に618円安の28,713円まで下落し610円安の28,721円で前場を終えました。623円安の28,708円安でスタートした後場の日経平均は一段安となりさらに下げ幅を広げると結局844円安の28,847円で取引を終え安値引けとなっています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は節目の900ポイントを割り込み4.9%安となり昨年来安値を昨日に続いて更新しています。
2.個別銘柄等
ファーストリテイリング(9983)が4.9%安となり10日続落となりました。気温が高く推移したことで防寒衣料の販売が苦戦したことなどからユニクロの2021年12月の国内既存店の売上高が前年同月比で11.1%減となったことで大幅安となり昨年来安値を昨日に続いて更新しています。昨日に電気自動車事業を担当する新会社を2022年春に設立すると発表したことで大幅高となり昨年来高値を更新したソニーグループ(6758)も利益確定の売りが出て6.9%安となったほか、投資判断と目標株価の引き下げを受けてテルモ(4543)も9.0%安となっています。
また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%以上下げたことを受けて日本市場でも半導体関連株が安く、東京エレクトロン(8035)が3.6%安、SCREENホールディングス(7735)が4.3%安、アドバンテスト(6857)も4.4%安となりました。さらに昨日の新型コロナウイルスの新規感染者数が全国で2600人を超えるなど再び感染が拡大していることからオリエンタルランド(4661)が4.9%安となったほか、エアトリ(6191)やオープンドア(3926)といった旅行会社も安く、エアトリが8.7%安、オープンドアも6.6%安となりました。
一方でエービーシー・マート(2670)が一時2.8%高となりました。月後半から北海道や東北での降雪で防滑性に優れた冬靴などの売り上げが伸びたことや、クリスマスシーズンのギフト需要も寄与し12月の既存店売上高が前年同月比で14.1%増と高い伸びとなったことが好感されました。しかし、引けにかけて下落に転じると0.2%安で取引を終えています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は844円安となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化を前倒しで進めるとの見方が強まりハイテク株を中心に売りが出て昨日の米国市場が大きく下落したことで大幅安となりました。朝方には節目の29,000円近辺で下げ渋る場面もみられました。しかし、29,000円を割り込むと下げ幅を大きく広げ節目の28,500円も小幅に下回りました。一目均衡表の雲の下限(28,877円)や200日移動平均線(28,821円)だけでなく25日移動平均線(28,577円)までも割り込み安値引けとなったことで下値への警戒感が強く意識されそうですが、800円を超す大きな下げとなったことから明日以降の自律反発に期待したいところです。なお、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数が発表されるほか、7日午前零時には12月の米ISM非製造業景況感指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)