およそ7年ぶりという、ガソリンの高騰が続いています。これは主に原油価格が上がっていることによるのですが、他にも新型コロナウイルス感染症の影響や農作物などの出来が十分ではないといった理由などにより、価格が高騰しています。また、この状況はまだ続くだろうと見込まれています。

新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化で、収入が減ったご家庭もありましたから、生活費にかかる費用が「値上がり」によって増えていくのは、大変きついことです。なんとか収支のバランスを保ちたいと考える人が多いと思いますが、何か策はあるでしょうか。

買いだめは必要最小限に。買いだめしすぎは損の元

コロナ禍では、いつ外出できなくなるかわからない、スーパーに食材がなくなるかもしれないという不安から、買いだめをする傾向にあったかと思います。また食材の値段が上がっている今は、「特売」などにつられて安ければ買いだめしてしまう、といったことをしてはいないでしょうか。

パスタなどの乾麺や調味料などは、まとめ買いしても傷みにくいと思いますが、消費期限の短い食材は、まとめ買いをしすぎると「ムダ」を出してしまう原因になります。また、たくさん買ってしまった場合「早く食べないと食材が悪くなる」という気持ちが働き、消費のスピードを上げることもあります。これでは、節約にはなりません。

食材なら自分たちの食べる量、日用品なら使う量に合わせ、買い物の量をコントロールしましょう。「買いだめ」も気になるところだと思いますが、これは災害対策と同じように考えると良いと思います。

いつもの食材、加工品などを備蓄し、定期的にその備蓄を食べ、補充する。そうすると、一定量の生きのいい食料をキープしておけます。これは、災害対策では「ローリングストック」と呼ばれる備蓄方法です。この方法を日頃から取り入れておくと、何かトラブルがあった時も、慌てずに済みます。

商品の価格が高騰していても、やることはいつもと同じ。もし、必要なものを買うことが今までの予算では難しいのであれば、食費や日用品の予算を上げて、それ以外のさほど必要ではない支出を抑え、調整すると良いのです。

ストーブの使い方を見直し、灯油やガスの使用料を節約する

原油高が続くと、冬の暖房代の支払いが不安です。私は元々北海道に住んでいたので、灯油価格の変動による家計への負担については、イヤというほどわかります。

今から20数年前、灯油価格は1リットル45円ほどだったので、暖房は迷わず灯油ストーブを選びました。しかし、東京に転居する直前は1リットル100円前後まで高騰支払額は倍になっていたのです。月に3~4万円が暖房費としてかかるようになり、家計を圧迫しました。

今の原油高騰は、この時より凄い。灯油の使い方によって負担の度合いは違うのでしょうが、やはり雪国の人は大変だと思います。

そこで、効率の良い暖房器具の使い方を調べてみました。経済産業省 資源エネルギー庁の調べ(※)によると、灯油を効率良く使うには、室温を20℃に設定するのが良いのだそうです。

外気温6℃の時に、石油ファンヒーターの設定温度を21℃から1度下げて20℃にし、1日9時間使った場合、この1℃の差で灯油使用量を年間10.22リットル減らせるそうです。今の1リットル104円ほどの金額で計算すると、1,062円の節約になります。普段22℃や23℃で暖房を設定している人が20℃に温度を下げると、もっと効果があるでしょう。

また、使用時間の短縮も節約効果があります。前述と同じ条件の場合(室温20℃)、1日1時間運転を短縮した場合ですと灯油ファンヒーターは年間で約1,500円の節約になります。

年間の節約金額として聞くと魅力は薄れるかもしれませんが、暖房が必要な期間は5ヶ月程度。家計の負担を減らすために、家庭での灯油暖房器具の使い方を工夫し、節約を検討してみましょう。

物価上昇による支出増には柔軟に対応を

物価が上昇することで、今まで必要だった量のモノを購入するのが難しくなる場合もあるかもしれません。そういう時は家計全体で支出の内容を、その上昇した価格に合わせて変えていきましょう。暖房費が1万円上がってしまったというのであれば、違う支出を減らします。食費も、日用品も考え方は同じです。

ただ、「もう減らせるところがない!」と慌ててしまうこともあるかもしれません。そういう時は支出の「優先順位」を考えます。どの支出をより優先し、しっかりと支払いたいのか。そうすると、おのずと減らすべき支出が見えてきます。

原油が高い、物価が高いと言いますが、逆にスマートフォンの利用料は、かなり安く設定することが可能になりました。生命保険も見直せば、支出を下げられるかもしれません。支出を抑えられるところは、意外とあるのです。

今の支出を当たり前と思わず、まずは疑ってみる。そして、疑問に思った支出は見直してみる。そんな対応ができれば、物価上昇にも柔軟に対応していけるのではないかと思います。

 

※経済産業省 資源エネルギー庁 家庭向け省エネ関連情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html#2