52週MAとの関係で考える

米ドル/円は、ここに来て2020年来の高値である112円を大きく超え、さらに2018年以来の113円台に乗せてきた。ところで、過去一年間の平均値である52週MA(移動平均線)は、足元で107.5円程度なので、このまま113円以上で推移すると、今回の米ドル高・円安局面では初めて52週MAを5%上回る計算になる(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の52週MAからのかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米ドル/円は、すでに52週MAを7ヶ月以上といった具合に「長く」上回ってきたが、それに加えて5%以上といった具合に「大きく」上回るかが注目される局面となってきたわけだ(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

経験的には、米ドル安トレンドが続く中でのあくまで一時的な米ドル高に過ぎない場合は、52週MA前後までがせいぜい。これに対して、52週MAを今回のように「長く」、さらに「大きく」上回る動きは、一時的ではなく、継続的、つまり米ドル高がトレンドとして展開している場合が基本だった。

同じようなケースを図表3で見ると、2000年1月、2005年1月、2011年10月、そして2016年6月からそれぞれ始まった4回の米ドル高・円安トレンドが該当する。この4回において、米ドル高・円安トレンドの継続期間は、2016年6月からのそれは半年にとどまったが、ほかの3回は全て2年以上となった。また、この間の米ドル最大上昇率は、20~66%だった。

【図表3】2000年以降の米ドル/円のトレンド
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

これを参考にすると、2021年1月102円から始まった米ドル高・円安トレンドが年内で終わる可能性は低く、これまでも何度か述べてきたように、2年以上続くなら、基本的には2023年にかけて続く可能性が高いだろう。

その上で、102円から20~66%上昇するなら、122~170円といった計算になる。ただ、購買力平価との関係などから見ると、「行き過ぎた米ドル高・円安」も、120円を大きく上回ると次第に限界感が強くなりそうなので、その意味では130円以上に向かうといった可能性は基本的には低いのではないか。