米ドル高はどこまで続く?

9月にかけて小動きが長く続いた米ドル/円だったが、ここに来て急に米ドル高方向へ活発な動きになった。ところで、似たような米ドル/円相場の急変は、2021年1月にもあった。小動きが長く続いた米ドル/円は、2021年1月の102円から、約2ヶ月で110円へ急騰に向かった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の推移 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

この2つの米ドル高大相場への急変は、じつはかなり似た構図だった可能性がある。その1つの要因が、長く続いた小動きの反動ということ。米ドル/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると、両者はともに長く続いた小動きを米ドル高方向へ放れたことに伴う米ドル急騰といった共通点があった(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円の90日MAからのかい離率 (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

小動きが長く続くと、基本的に相場のエネルギーが溜まり、小動き終了によりエネルギーが発散されることで一方向へ大きく動きやすくなる。その意味では、2021年1月からの米ドル急騰も、最近にかけての米ドル急騰も、共通したメカニズムの1つとして、この「長く続いた小動きの反動」があったのではないか。

ところで、2021年1月からの米ドル急騰は、米金利急騰に伴う日米金利差米ドル優位急拡大ととてもきれいに連動した。そして米金利急騰が一巡し、金利差米ドル優位拡大も一巡したところが、米ドル急騰一段落とほぼ一致していた(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日米金利差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

最近にかけての米ドル急騰も、米金利急騰に伴う金利差米ドル優位拡大とほぼ連動したものだった(図表4参照)。その意味では、今回の場合も、この米ドル急騰がどこで一段落するかは、米金利上昇が一段落する水準を考えることが手掛かりになりそうだ。

【図表4】米ドル/円と日米金利差 (2021年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

その米金利、米10年債利回りは、3月にかけての急騰局面では90日MA(移動平均線)を5割以上も上回るまで上昇が続いた(図表5参照)。これは過去最大で、経験的には90日MAを3割上回るとかなり「上がり過ぎ」懸念が強くなる。

【図表5】米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、足元の米10年債利回りの90日MAは1.37%程度なので、それを3割上回る水準は1.8%程度といった計算になる。以上から、勢い付いた米10年債利回り上昇は、1.8%程度まで「上がり過ぎる」可能性は想定する必要があるのかもしれない。それを、これまでの日米金利差と米ドル/円の関係に当てはめると114円程度になる。

以上のように見ると、長く続いた小動きの反動で勢い付いた米ドル高・円安は、米金利動向次第で114円程度まで続く可能性はあるが、米金利「上がり過ぎ」懸念が強まることで、その辺りが当面においては米ドル高のクライマックスになるのではないか。