米10年債利回り「下がり過ぎ」の行方は?

米ドル/円は19日、一時109円割れ寸前まで急落した。米景気への懸念が拡大したとして米金利が大きく低下したことに連れた面が大きかっただろう。米10年債利回りは一時1.2%を大きく割り込む動きとなった(図表1、2参照)。

【図表1】米ドル/円と日米金利差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】米10年債利回りと90日MA(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

 

では米金利はこの先さらにどこまで低下する可能性があるだろうか。米10年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率はすでに19日時点でマイナス20%以上に拡大してきた(図表3参照)。2010年以降で、同かい離率がマイナス20%以上に拡大したのは10回程度。つまり、同かい離率がマイナス20%以上に拡大するのは、経験的には一年に一度くらいはあるものといえそうだ。

【図表3】米10年債利回りの90日MAからのかい離率(2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ただ、同かい離率がマイナス30%以上に拡大したのは、2010年以降でも2~3回しかなかった。ちなみに足元の米10年債利回りの90日MAは1.567%程度。従ってそれを30%下回ると丁度1.1%程度といった計算になる。

米10年債利回りが、すでに90日MAを20%以上も下回るほど短期的に「下がり過ぎ」になっているのは、米景気への懸念を織り込んできた可能性があるということではないか。その上でここからさらに米10年債利回りが低下するとしても、1.1%前後までがせいぜいといった見通しが基本だろう。いずれにしても、米ドル/円の下落リスクは、そんな米金利の低下が1つの目安になりそうだ。